著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学元教授、医事評論家

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

足立区vs港区 年収差577万円で1年長生きをどう考える?

公開日: 更新日:

「足立区の平均年収は、港区と比べて600万円近くも低い。だから足立区の平均寿命は港区と比べて短い」

 他県と同様、東京にも市区町村の序列が、厳然として存在します。足立区を含む下町には、町工場の従業員や肉体労働者など低所得層が多く住み、港区や渋谷区にはセレブや大企業のエリートたちが住む。何十年も前から、そういうすみ分けがなされています。

 ところが一昨年あたりから、所得と健康の関係が取り沙汰されるようになり、両区の差がにわかに脚光を浴びるようになりました。低所得者は健康や医療に金をかけられず、とりわけ食事に差がつくというのです。低所得者の食事は、炭水化物と脂肪が多い傾向にあります。そのため貧困層ほど肥満が多く、糖尿病心臓病にかかりやすいことが知られています。

 港区の平均所得は23区のトップで、足立区は最下位。そのため両区に大きな健康格差があるに違いないと思われるようになったのですが、そこからいきなり足立区民は短命、港区民は長命と結論づけるのは、飛躍し過ぎです。

 ちなみに祖父母が北千住に住んでいたため、私は幼少期から足立区には慣れ親しんできましたし、それなりに思い入れもあります。だから足立区だけが一方的におとしめられているのを見るのは、忍びないという思いがあります。それに実際のところ、両区の平均寿命には、大きな違いはありません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    不慮の事故で四肢が完全麻痺…BARBEE BOYSのKONTAが日刊ゲンダイに語っていた歌、家族、うつ病との闘病

  2. 2

    「対外試合禁止期間」に見直しの声があっても、私は気に入っているんです

  3. 3

    箱根駅伝3連覇へ私が「手応え十分」と言える理由…青学大駅伝部の走りに期待して下さい!

  4. 4

    「べらぼう」大河歴代ワースト2位ほぼ確定も…蔦重演じ切った横浜流星には“その後”というジンクスあり

  5. 5

    100均のブロッコリーキーチャームが完売 「ラウール売れ」の愛らしさと審美眼

  1. 6

    「台湾有事」発言から1カ月、中国軍機が空自機にレーダー照射…高市首相の“場当たり”に外交・防衛官僚が苦悶

  2. 7

    高市首相の台湾有事発言は意図的だった? 元経産官僚が1年以上前に指摘「恐ろしい予言」がSNSで話題

  3. 8

    AKB48が紅白で復活!“神7”不動人気の裏で気になる「まゆゆ」の行方…体調は回復したのか?

  4. 9

    大谷翔平も目を丸くした超豪華キャンプ施設の全貌…村上、岡本、今井にブルージェイズ入りのススメ

  5. 10

    高市政権の「極右化」止まらず…維新が参政党に急接近、さらなる右旋回の“ブースト役”に