著者のコラム一覧
平山瑞穂小説家

1968年、東京生まれ。立教大学社会学部卒業。2004年「ラス・マンチャス通信」で日本ファンタジーノベル大賞を受賞。糖尿病体験に基づく小説では「シュガーな俺」(06年)がある。

病院に提出してきた完璧な食事記録はすべて捏造したもの

公開日: 更新日:

 糖尿病患者の多くは、病院で管理栄養士さんによる食事指導を受けているだろう。事細かに記録した診察前日の食事内容から熱量や栄養バランスの良し悪しをコメントしてもらうというものだ。

 1型患者に食事療法はほとんど関係がないはずなのだが、診察を受けるための流れの一環として、僕もこれを避けることができない。

 そして僕は毎回、「カロリー、栄養バランス共に申し分ありません」との評価を受けている。しかし白状すると、過去十数年に提出した僕の食事記録は、ほとんどすべて捏造である。

 僕は食事療法についてほぼ完璧に理解している。だからこそ、理想的な食事内容を難なく捏造できるのだ。逆に言えば、正直に申告した場合、どこにどんなダメ出しをされるかまで正確に予測できてしまう。それがわかっていながら愚直に指摘を受けるのもどうかと思うのだ。

 しかしそれは、僕が野放図な暴飲暴食を毎日しているという意味ではない。食事療法に励んでいた時期に身についた「感覚」が今なお健在なので、たいていの場合、管理栄養士さんのお眼鏡にかなうバランスの取れた食生活を、おおむね守っていると思う。ただし、診察の前日にもそうした食事を必ずしているとは限らない。飲みの約束が入っている場合もある。その時の食事内容をバカ正直に申告したら、いったいどんな厳しい小言を頂戴することか。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐々木朗希「スライダー頼み」に限界迫る…ドジャースが見込んだフォークと速球は使い物にならず

  2. 2

    永野芽郁「キャスター」視聴率2ケタ陥落危機、炎上はTBSへ飛び火…韓国人俳優も主演もとんだトバッチリ

  3. 3

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  4. 4

    風そよぐ三浦半島 海辺散歩で「釣る」「食べる」「買う」

  5. 5

    広島・大瀬良は仰天「教えていいって言ってない!」…巨人・戸郷との“球種交換”まさかの顛末

  1. 6

    広島新井監督を悩ます小園海斗のジレンマ…打撃がいいから外せない。でも守るところがない

  2. 7

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  3. 8

    令和ロマンくるまは契約解除、ダウンタウンは配信開始…吉本興業の“二枚舌”に批判殺到

  4. 9

    “マジシャン”佐々木朗希がド軍ナインから見放される日…「自己チュー」再発には要注意

  5. 10

    永野芽郁「二股不倫」報道でも活動自粛&会見なし“強行突破”作戦の行方…カギを握るのは外資企業か