著者のコラム一覧
名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

日本人の成人の半分が該当 血圧「130」は高めなのか?

公開日: 更新日:

 糖尿病肥満度と同様に国民健康・栄養調査の血圧のデータを見てみましょう。2016年のデータで上の血圧の平均は、20歳以上の男性で134.3㎜Hg、女性で127.3㎜Hgです。血圧の分布は左右対称に分布しますから、130㎜Hg未満の人とそれ以上の人がおおよそ半分ずつという状況です。

 テレビコマーシャルで「血圧130以上は血圧高めです」なんてやっていますから、日本人の20歳以上で、半分の人が血圧高めということになります。平均値が高めなんて、なんだか変だと感じるかもしれません。「血糖値が平均値の人は血糖高めです」とか、「BMIが平均値の人は肥満です」みたいなことになっているわけです。どういうことでしょうか。

 これまでの上の血圧の基準は140㎜Hg以上というのが一般的なものでしたが、2017年に米国高血圧合同委員会が正常な上の血圧を130㎜Hg未満に引き下げたということもあり、あながちデタラメな主張ではありません。

 事実、血圧100の人に比べれば130の人の脳卒中心筋梗塞のリスクは高く、効果が明確で、安全、安価な治療があれば、130以上の人が高血圧患者として降圧薬を飲むというのも、それほど間違った話ではありません。しかし、110の人に比べれば120の人も脳卒中などのリスクは高く、なぜ120でなく、130が境目として採用されたのでしょうか。次回からはこの問題について取り上げていきたいと思います。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 4

    柳田悠岐の戦線復帰に球団内外で「微妙な温度差」…ソフトBは決して歓迎ムードだけじゃない

  5. 5

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    ローラの「田植え」素足だけでないもう1つのトバッチリ…“パソナ案件”ジローラモと同列扱いに

  3. 8

    ヤクルト高津監督「途中休養Xデー」が話題だが…球団関係者から聞こえる「意外な展望」

  4. 9

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 10

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?