発症から5年以内が危険 脳卒中後は自殺リスクが10倍に

公開日: 更新日:

「研究では脳卒中後に自殺並びに事故で亡くなった人の数が数十人と少なく、そのうち発症5年以内で亡くなった人はさらに少なくなります。そのため10倍という数値は割り引いてみる必要があります。それでも、脳卒中を発症すると、うつ病リスクが高まることがわかっています。ご存じのようにうつ病は自殺の最大のリスク要因です。また、うつ病によってうつ状態になると、交通事故や転落などの不慮の事故に遭いやすくなることが知られています。認知機能が衰えるからでしょう。身体的、認知的な障害により、仕事や私生活で不自由な思いをすることでも自殺が増える可能性が高くなるのは間違いありません」

 脳卒中は、脳血管が障害されることによって起きる。後遺症は、それで脳が損傷を受けることが原因だ。脳へのダメージが自殺や交通事故などの外因死を招きやすいことはアメリカンフットボール選手を対象にした研究でもわかっている。脳振とうなど、脳への損傷を繰り返すことで慢性外傷性脳症(CTE)になる選手が多く、認知機能の低下から錯乱・抑うつ状態が続き、自殺することもあるという。


「米ボストン大学医学部の報告で、引退したアメフトの選手から死後提供された202人分の脳標本を調べたところ、177人(87%)がCTEだったことが明らかになっています。生前に認められた症状から軽症と重症とに分けたところ、軽症者の死因で最も多かったのは自殺(12人、27%)だったそうです。また、軽症者も重症者も生前、自殺行動が見られたことが報告されています」(林院長)

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「マラソン」と「大腸がん」に関連あり? ランナー100人への調査結果が全米で大きな波紋

  2. 2

    “マトリ捜査報道”米倉涼子の圧倒的「男運」のなさ…海外から戻らないダンサー彼氏や"前科既婚者"との過去

  3. 3

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  4. 4

    大阪・関西万博「最終日」現地ルポ…やっぱり異常な激混み、最後まで欠陥露呈、成功には程遠く

  5. 5

    米倉涼子“自宅ガサ入れ”報道の波紋と今後…直後にヨーロッパに渡航、帰国後はイベントを次々キャンセル

  1. 6

    アッと驚く自公「連立解消」…突っぱねた高市自民も離脱する斉藤公明も勝算なしの結末

  2. 7

    新型コロナワクチン接種後の健康被害の真実を探るドキュメンタリー映画「ヒポクラテスの盲点」を製作した大西隼監督に聞いた

  3. 8

    巨人の大補強路線にOB評論家から苦言噴出…昨オフ64億円費やすも不発、懲りずに中日・柳&マエケン狙い

  4. 9

    元体操選手の鶴見虹子さん 生徒200人を抱える体操教室を経営、“アイドル”も育成中

  5. 10

    地上波連ドラ3年ぶり竹内涼真に“吉沢亮の代役”の重圧…今もくすぶる5年前の恋愛スキャンダル