著者のコラム一覧
平山瑞穂小説家

1968年、東京生まれ。立教大学社会学部卒業。2004年「ラス・マンチャス通信」で日本ファンタジーノベル大賞を受賞。糖尿病体験に基づく小説では「シュガーな俺」(06年)がある。

低血糖で意識障害だからこそ 低血糖を断固認めない

公開日: 更新日:

 低血糖による意識障害や昏倒のリスクを、現在は最小限まで抑えることが可能になっている。そんな今だからこうして堂々と書けるのだが、渦中にあった頃、妻には本当に迷惑をかけたと反省している。

 僕が「異常な言動」を示したとき、口から泡を吹いて意識を喪失したとき、救急車で搬送されたとき、そばにいて対処してくれていたのは、常に妻だ。彼女はその都度、一歩間違えば僕がそのまま帰らぬ人となってしまうかもしれないという恐怖と闘ってきたのだ。

 当時、妻から口を酸っぱくして注意されていたのは、「低血糖ではないか」と指摘されたとき、抵抗しないでほしいということだった。

 そういうとき、僕はしばしば、「これは低血糖じゃない」とムキになって否定し、ゼリー飲料などを食べさせようとしても、「必要ない」と拒んだりしていたようだ。自分でもあらかた覚えているし、そのときの心理も思い返すことができる。あえて言語化すれば、それはこういうことだ。

 低血糖で、それまでにもちょくちょく彼女の厄介になっており、そうならないようにこれからは気をつけると約束していた手前、結果としてまた意識障害を起こしてしまったとあれば、申し開きが立たない。認めたくないのである。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    本命は今田美桜、小芝風花、芳根京子でも「ウラ本命」「大穴」は…“清純派女優”戦線の意外な未来予想図

  1. 6

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  2. 7

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  3. 8

    石破首相続投の“切り札”か…自民森山幹事長の後任に「小泉進次郎」説が急浮上

  4. 9

    今田美桜「あんぱん」44歳遅咲き俳優の“執事系秘書”にキュン続出! “にゃーにゃーイケオジ”退場にはロスの声も…

  5. 10

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃