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中山祐次郎外科医

1980年生まれ。鹿児島大学医学部卒。都立駒込病院大腸外科医師(非常勤)として10年勤務。現在は福島県郡山市の総合南東北病院に外科医として籍を置き、手術の日々を送る。著書に「医者の本音」(SBクリエイティブ)、小説「泣くな研修医」(幻冬舎)などがある。

治療に優劣はある?大病院は小病院を兼ねるのか

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 ――むしろ、気の合う先生がいる、かかりつけ医の重要性が増しているようですね?

「適切な医療を提供するには、病状を把握するだけでなく、患者さんの職業や家族、生活習慣、環境といった“患者背景”が必要になります。地域のかかりつけ医は、長い関わりの中で患者さんのライフスタイルについての情報を多く持つことができる。例えば、高血圧だとしたら、薬を処方するだけでなく、生活習慣から減塩という治療の手がかりを見つけられるかもしれません。だからこそすぐに大きな病院に行くより、かかりつけ医を持つ方がよりきめ細やかな診察を受けることが可能だと思います」

 ――中山さんも家族が病気になったら、まずはかかりつけ医を勧めると言っていますね?

「私はずっと専門医として医療に携わってきましたが、2016年末、福島原発近くの福島県双葉郡広野町にある高野病院の高野英男院長が急逝されたことを受け、2カ月間だけ限定院長として赴任しました。院長といっても、医師はわたし一人です。患者さんは内科も外科も、精神科もすべて来る“何でも外来”でした。しかし、職責を全うされた高野先生のカルテを見てみると、患者の病状だけではない、事細かな背景や全体像が記録されていました。それはつまり、専門病院の外来より、その患者の人間全体を見ていたのです」

 日本には「医は仁術」という言葉がある。=つづく

 (構成=稲川美穂子)

【連載】ドクターXが見分ける いい医者いい病院

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