どんな料理にも合い捨てるところがない大根 ビタミンC豊富

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首の部分が甘く、尻尾にいくと辛くなる理由

 大根は日本人にとって最もなじみの深い食材のひとつ。おでんや煮物はもちろん、サラダや大根おろしとしても常用される。

 俗に青首大根といわれるように、大根は首(葉っぱに近い方)がほんのり青く(緑色)、尻尾にいくと真っ白になる。その名の通り植物における根だが(大根はアブラナ科)、植物の細胞は基本的にはどの部位の細胞でも多分化能を保持している。なので、根っこの細胞であっても光が当たれば、光合成能力を発揮して葉っぱの機能を果たせる。したがって、地上に近い首の部分はクロロフィル(光合成を行う緑色の色素)を持つ。光合成を行うと糖ができるため、大根は首の部分の方が甘い。そして尻尾の方にいくと、甘味が減る代わりに、辛味が増す。

 大根の辛味成分はアリルイソチオシアネートという物質で、からしやマスタードと同じ成分。なので、大根おろしを作る時は尻尾の方を使うとよい。

 大根の95%は実は水分のため、超低カロリー食材。おいしいダシでじっくり煮込めば、味がしっかり染みたふろふき大根の出来上がり。

 大根には特有のさわやかな苦味がある。これは主としてポリフェノールの作用。子供は苦味をいやがるので大根が嫌いなことが多いが、大人はこれがおいしくなる。年を取ることの効用のひとつだ。

▽福岡伸一(ふくおか・しんいち)1956年東京生まれ。京大卒。米ハーバード大医学部博士研究員、京大助教授などを経て青学大教授・米ロックフェラー大客員教授。「動的平衡」「芸術と科学のあいだ」「フェルメール 光の王国 」をはじめ著書多数。80万部を超えるベストセラーとなった「生物と無生物のあいだ」は、朝日新聞が識者に実施したアンケート「平成の30冊」にも選ばれた。

※この料理を「お店で出したい」という方は(froufushi@nk-gendai.co.jp)までご連絡ください。

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