著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

山本浩二さんは1年に4度がん手術 一がん息災が長生きの秘訣

公開日: 更新日:

 高い再発率はネックでも、きちんと経過観察しながら、その都度早期に適切に切除すれば、救命が可能。そんなわけで米国では、膀胱がんを何度も手術を受けやすいがんであることから、「もっとも医療費がかかるがん」といわれることもあるのです。

 手術は1時間ほど、入院は2~4日程度。手術後の下腹部の痛みはつきものでも、薬で楽になります。適切な経過観察を続けていれば、手術の負担も後遺症も最小限で済ますことができる。

 肺がんも、同様の傾向があり、再発しやすい。適切な経過観察が欠かせません。

 そういう点に着目すると、山本さんはきちんとフォローの検査を受けているのだと思います。膀胱がんの直後に肺がんが見つかったのも、そのおかげです。

 私は、お酒を飲むので脂肪肝のチェックで、定期的に腹部エコー検査を受けています。膀胱がんを早期発見できたのは、そのためです。がんの専門医である私が膀胱がんになってつくづく思うのは、一病息災、一がん息災という考え方。


 病気はないに越したことはありませんが、命に影響しないような軽い持病をきちんとフォローすることで、命を脅かす恐れのあるがんも早期発見・早期治療ができます。それが結果的に元気で長生きすることにつながるでしょう。そういう考え方です。

 私も膀胱がんを見つけた直後はショックでした。そのショックを引きずっていたら、一がん息災はかないません。体力と気力の充実は大切で、医師との信頼関係も欠かせません。山本さんは、その3つがそろっているのだと思います。皆さんもそうやってがんを克服してください。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 8

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  4. 9

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも