著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

大腸がんは「ステージ4」でも手術できれば生きられる

公開日: 更新日:

 大腸がんで転移しやすいのは、肝臓と肺です。大腸がんがほかのがんと異なるのは、原発の大腸がんの進行が食い止められていると、転移した肝臓や肺も手術が可能で、治癒の可能性が見込めるのです。

 大腸がんをまず手術した後、しばらくして肝臓や肺に再発。再発部位を改めて手術して完治したという患者さんを何人も目にしています。一般によく知られた方では、ジャーナリストの鳥越俊太郎さん(80)が有名でしょう。

 鳥越さんは65歳でステージ2の大腸がんが見つかると、手術で切除。その後、肺や肝臓への転移が判明し、69歳までに4回の手術を受けているといいます。再発後は遠隔転移があるのでステージ4ですが、転移した部位を手術で切除できさえすれば、元気に生活できることのよい例といえるでしょう。

 肝臓と肺に加え、この4月からは5個までのリンパ節転移についても、定位放射線治療が保険適用に。より負担の軽い治療が可能になっています。骨転移の痛みなどは、放射線がとても有効です。

 ステージ4でも、打つ手があるのが大腸がんですが、できるだけ早期発見するに越したことはありません。鳥越さんはトイレで異変に気づいたことがキッカケのようで、ステージ2。早期発見のカギとなる便潜血検査は受けておらず、いまも元気に活躍されているのは不幸中の幸いでしょう。

 しかし、不幸中の幸いはすべての人に当てはまることではありません。確実に「幸い」をつかむには、毎年必ず便潜血検査を受けること。それに尽きます。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  2. 2

    渋野日向子に「ジャンボ尾崎に弟子入り」のススメ…国内3試合目は50人中ブービー終戦

  3. 3

    ソフトバンクは「一番得をした」…佐々木麟太郎の“損失見込み”を上回る好選定

  4. 4

    沢口靖子「絶対零度」が月9ワースト目前の“戦犯”はフジテレビ? 二匹目のドジョウ狙うも大誤算

  5. 5

    巨人・桑田二軍監督の電撃退団は“事実上のクビ”…真相は「優勝したのに国際部への異動を打診されていた」

  1. 6

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  2. 7

    国分太一が「世界くらべてみたら」の収録現場で見せていた“暴君ぶり”と“セクハラ発言”の闇

  3. 8

    恥辱まみれの高市外交… 「ノーベル平和賞推薦」でのトランプ媚びはアベ手法そのもの

  4. 9

    後藤真希と一緒の“8万円沖縄ツアー”に《安売りしすぎ》と心配の声…"透け写真集"バカ売れ中なのに

  5. 10

    沢口靖子も菅田将暉も大コケ不可避?フジテレビ秋ドラマ総崩れで局内戦々恐々…シニア狙いが外れた根深い事情