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永田宏前長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

腸内細菌叢も5パターンある 血液型の研究は「病気」から「健康」へ

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 一方、食物繊維のセルロースを分解して消化を助けたり、整腸作用を促したりする菌(実際に整腸薬に使われている)も含まれています。つまりクロストリジウム属は善玉・悪玉を取り交ぜたグループで、それが分泌型のA型の腸内に多くすみついているというのです。

 この結果を受けて、ドイツの研究チームが9000人の糞便を使った大規模な研究を行いました。論文は「ネイチャー・ジェネティクス」という世界トップレベルの学術雑誌に掲載されています。この研究で、組織血液型抗原が、細菌の腸壁への接着の手がかりになっているだけでなく、実は彼らの重要な餌にもなっていることが分かりました。とくにA抗原とB抗原が細菌たちに好まれるようで、O型と非O型では細菌叢の構成に違いがあることも明らかになりました。

 組織血液型抗原に関して、腸内は5種類(非分泌型、分泌型A/B/AB/O型)に分かれているわけですが、腸内細菌叢もそれに応じて5パターンに分かれているのかもしれない──そういうことが解明されつつあるのです。長年の「血液型と病気」の研究が、「血液型と健康」の研究に変わる節目にきていると言っていいでしょう。

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