がんとの共生に「抗がん剤」は必ずしも必要ない 在宅医療の名医が語る「薬」と「延命」

公開日: 更新日:

 激ヤセのイメージがあるがんだが、その原因は2つある。1つは「がん悪液質」のためだ。

「悪液質とは栄養不良により体が衰弱した状態を指す言葉です。心不全、慢性肺疾患などでもみられ、がん患者の60~80%、がん死の20~25%を占めるといわれています」

 もう1つの原因が「抗がん剤」だという。「がんを小さくして長生きしたいから」というがん患者は多いが、ときにそれは命を縮めることにもなるという。

「抗がん剤を使えばがんは小さくはなりますが、それが長生きにつながるとは限りません。がん(悪性腫瘍)と良性腫瘍の違いは、『増殖速度』です。初期のがんなら、抗がん剤で腫瘍を縮小させ、手術でがんを完全に消失させられるかもしれません。伊東さんのように全身転移している患者さんでも抗がん剤でがんを縮小したり、がんの進行度合いを示すがんマーカーの値も下げられます。しかし、それは一時的で、全身に転移するぐらいのスピードで増殖中のがんを抑える抗がん剤はそれだけ正常組織への悪影響も強いのです」


 伊東さんのように副作用があまりにも強く、食事を取るのがままならない状態での抗がん剤の継続が延命につながるとは限らないのだと言う。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    米倉涼子“自宅ガサ入れ”報道の波紋と今後…直後にヨーロッパに渡航、帰国後はイベントを次々キャンセル

  2. 2

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 3

    彬子さま三笠宮家“新当主”で…麻生太郎氏が気を揉む実妹・信子さま「母娘の断絶」と「女性宮家問題」

  4. 4

    アッと驚く自公「連立解消」…突っぱねた高市自民も離脱する斉藤公明も勝算なしの結末

  5. 5

    ヤクルト池山新監督の「意外な評判」 二軍を率いて最下位、その手腕を不安視する声が少なくないが…

  1. 6

    新型コロナワクチン接種後の健康被害の真実を探るドキュメンタリー映画「ヒポクラテスの盲点」を製作した大西隼監督に聞いた

  2. 7

    違法薬物で逮捕された元NHKアナ塚本堅一さんは、依存症予防教育アドバイザーとして再出発していた

  3. 8

    大麻所持の清水尋也、保釈後も広がる波紋…水面下で進む"芋づる式逮捕"に芸能界は戦々恐々

  4. 9

    “行間”を深読みできない人が急増中…「無言の帰宅」の意味、なぜ分からないのか

  5. 10

    万博協会も大阪府も元請けも「詐欺師」…パビリオン工事費未払い被害者が実名告発