著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

俳優の三宅弘城さんは妻の看取りを告白…末期がんの激痛は拠点病院の支援室に相談

公開日: 更新日:

 身体的な苦痛として問題なのは、食欲低下がトップで痛みが続きます。いずれも6割前後。今回のすい臓がんの場合、末期になると周辺にある十二指腸や大腸を圧迫するため、食欲低下を招きやすい。口からの摂取が難しく、栄養や水分を点滴で行うゆえんです。

 どのがんでも末期は痛みが強くなりますが、特にすい臓がんの痛みはひどく、寝返りもつらいほどです。そのため、モルヒネに代表される医療用麻薬を用いますが、量が増えると意識が薄れてほぼ寝たきりになることもあります。介護する人には、栄養が取れず衰弱するのも、痛みに苦しむのもつらいでしょうし、寝たきりも残念でしょう。

 そんな状況を改善するひとつが神経叢(そう)ブロックで、痛みの神経伝達を抑えるため劇的な効果があります。すい臓がんの激痛で寝たきりだった人が、これで改善して歩けるようになり、日常生活を送れるように。何より意識がハッキリして、会話ができるのが大きい。

 痛みが強いケースは在宅緩和ケアに入る前に、この神経叢ブロックをすることがお勧めです。すい臓がんは毎年約3万8000人が亡くなりますが、神経叢ブロックを受けるのは300人ほど。効果的な治療法が知られていないためです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  2. 2

    巨人・桑田二軍監督の電撃退団は“事実上のクビ”…真相は「優勝したのに国際部への異動を打診されていた」

  3. 3

    クマ駆除を1カ月以上拒否…地元猟友会を激怒させた北海道積丹町議会副議長の「トンデモ発言」

  4. 4

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  5. 5

    クマ駆除の過酷な実態…運搬や解体もハンター任せ、重すぎる負担で現場疲弊、秋田県は自衛隊に支援要請

  1. 6

    露天風呂清掃中の男性を襲ったのは人間の味を覚えた“人食いクマ”…10月だけで6人犠牲、災害級の緊急事態

  2. 7

    高市自民が維新の“連立離脱”封じ…政策進捗管理「与党実務者協議体」設置のウラと本音

  3. 8

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 9

    恥辱まみれの高市外交… 「ノーベル平和賞推薦」でのトランプ媚びはアベ手法そのもの

  5. 10

    引退の巨人・長野久義 悪評ゼロの「気配り伝説」…驚きの証言が球界関係者から続々