著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

特殊な膵臓がんでは手術で5年を超える延命も 旅行系YouTuberみずきさんが手術成功を報告

公開日: 更新日:

 膵臓がんでステージ4と診断されたことを公表していた旅行系ユーチューバーのみずきさんについて、夫のこうへいさんが妻の手術成功を報告したことが話題になっています。診断当初は全身にがんが転移していて、抗がん剤治療でがんが縮小したため、手術に踏み切ったといいます。

 膵臓は胃の後ろにあって超音波が届きにくく、内視鏡も難しい。早期発見が困難で診断時にがんを手術できるのは20%ほど。進行していることが多いのが難治がんといわれるゆえんです。

 厄介な膵臓がんは最近、罹患数が4万4000人ほど。2000年と比べると、2倍以上に増えています。今回は、この要注意ながんについてチェックしましょう。

 膵臓は、消化液を分泌する腺房と、消化液を集めて膵液として十二指腸に運ぶ膵管からできています。膵臓がんは多くが膵管から発生しますが、今回は腺房と公表されました。この腺房から発生する膵臓がんは、全体の0.4%と非常にまれなタイプなのです。

 この特殊な膵臓がんは診断時の遠隔転移が多く、3~5割に遠隔転移が認められます。その最も多いのが肝臓です。膵管にできる膵臓がんよりやや若く50代で見つかることも珍しくありません。今回はさらに若い32歳での診断といわれますから、おふたりはつらかったと思います。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    農水省ゴリ押し「おこめ券」は完全失速…鈴木農相も「食料品全般に使える」とコメ高騰対策から逸脱の本末転倒

  3. 3

    TBS「ザ・ロイヤルファミリー」はロケ地巡礼も大盛り上がり

  4. 4

    維新の政権しがみつき戦略は破綻確実…定数削減を「改革のセンターピン」とイキった吉村代表ダサすぎる発言後退

  5. 5

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  1. 6

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  2. 7

    粗品「THE W」での“爆弾発言”が物議…「1秒も面白くなかった」「レベルの低い大会だった」「間違ったお笑い」

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  5. 10

    巨人阿部監督の“育成放棄宣言”に選手とファン絶望…ベテラン偏重、補強優先はもうウンザリ