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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

特殊な膵臓がんでは手術で5年を超える延命も 旅行系YouTuberみずきさんが手術成功を報告

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 ただし、このタイプは積極的な治療で生存期間が延びる可能性があるのも特徴です。おふたりの報告などによると、診断当初は「何もしなければ4カ月。標準治療を進めて抗がん剤で延命していったとして長くて2年」と言われたそうですが、もっと長いケースも珍しくありません。

 遠隔転移などがあっても抗がん剤でがんを縮小して手術ができると、5年生存率は43.9%、生存期間中央値は41カ月とする報告もあります。中央値は100人追跡したとき、51番目の数値。41カ月を超えて延命することは十分で、5年を超える延命も報告されています。

 特殊な膵臓がんだけに治療法が確立されているわけではありませんが、抗がん剤などとの組み合わせで手術できるかどうかがカギです。その中でも肝臓への多発転移をいかに防ぐかが重要な要素といえます。

 前述した通り、膵臓がんは急増しているがんのひとつです。

 がんができる部位は運かもしれませんが、膵臓がんのリスクは、糖尿病、慢性膵炎、過剰飲酒(日本酒で1日3合以上)、喫煙、膵臓がんの家族歴、肥満など。これらのリスクが複数ある人はエコー検査をお勧めします。

 脂肪が厚いとエコーが届きにくいので、より精度の高いMRCP(MR胆管膵管撮影)がベターです。

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