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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

直腸がん手術経験者の桑野信義さんは「オムツ着用」…排便障害を避ける方法

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 結腸がんの局所再発リスクは1~2%ですが、直腸がんのそれは約4倍の7.6%。この再発リスクとの兼ね合いで、世界的には術前化学放射線療法が普及しています。桑野さんが選択したのは手術の前に単独で行う化学療法ですが、それに加えて放射線も併用する治療です。

 これによって手術を単独で行うより、手術範囲を狭められ、周りの臓器や神経への損傷を食い止められ、合併症を抑えられる上、局所再発を抑えることにもなります。さらに、よりがんを小さくできるので、肛門機能の温存にも効果的です。

 放射線と併用する化学療法について、欧米では通常の化学療法ではなく、FOLFOX療法やXELOX療法といった全身化学療法をすべて術前に行う方法(TNT)がとられています。TNTだと、30~50%の確率で肉眼でがんが消失した状態になり、経過観察しながら慎重に手術のタイミングをうかがう監視療法も積極的に行われているのです。

 直腸は排便前に便をためる機能もあり、切除部位が広いと、頻繁な排便に悩まされます。桑野さんは1日60~70回もトイレに行ったこともあるそうです。これでは永久的な人工肛門を免れても、生活の質は損なわれるでしょう。

 直腸や肛門などの機能を残すには、いかに手術範囲を狭くする治療を選択するかがとても重要です。TNTは日本でほとんど行われていませんが、術前化学放射線療法は普及しつつあり、今後、選択の余地があると思います。

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