著者のコラム一覧
田中里佳順天堂医院足の疾患センター長

2002年東海大学医学部卒業、04年同大学形成外科入局、06年米国ニューヨーク大学形成外科学教室留学、12年順天堂大学医学部形成外科学講座准教授、医局長を経て現職を務める。

足の血流障害を自分でチェックできる方法はあるのでしょうか

公開日: 更新日:

 動脈硬化が進行して足の血流が悪くなると、足にしびれや痛みの症状が現れます。これは「閉塞性動脈硬化症(ASO)」と呼ばれ、血流の低下から足の冷感や、歩いているとふくらはぎが張ったりしびれが生じ、休憩を挟むと症状が治まる「間欠性跛行(はこう)」が現れるのが特徴です。

 ASOと診断される方のほとんどは、間欠性跛行や血流不足による変色(チアノーゼ)で足の異変に気付きますが、中には症状がまったく見られず気付いた時には手遅れのケースが少なくありません。実際、血流障害がある70歳以上の高齢者のうち、20~30%は無症候性といわれています。

 ある80代の男性は、かかとにできた靴擦れの痛みで受診しました。初診のアセスメントで足の血流を測ると、動脈硬化がかなり進行し、血流は悪く血管ももろくなっていたのです。通常、ASOの患者さんには心筋梗塞と同様に血管を広げるカテーテル治療やバイパス手術が適応されますが、残念ながら行えない患者さんもいます。この患者さんはカテーテル治療を実施しても血流の改善が得られなくて、結局、傷口から感染した細菌による敗血症で亡くなりました。

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