著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

腸内細菌が左右するがん治療効果 がん研究センターが国内初の臨床試験

公開日: 更新日:

 また、昭和大の研究結果を解析すると、オプジーボの効果があった患者さんの腸内細菌は、善玉菌であるビフィズス菌が多く、細菌の多様性があったことが分かったそうです。いずれも米仏の研究結果をさらに進めるものだと思います。

 こうした流れから、国立がん研究センターなどは、健康な人の腸内細菌を移植することでがん患者の腸内細菌を改善させてから、免疫チェックポイント阻害剤を使用。その併用によって、治療効果がどれくらい変わるかを調べようとしているのです。

 腸内細菌は、便から採取します。今回の研究で面白いのは、適格性検査をクリアした腸内細菌ドナーの便から、腸内細菌溶液を分画して、腸内細菌バンクとして管理するところでしょう。これまで行われてきた「便移植」を嫌がる人にも、抵抗が少なくなると思います。

 腸内細菌については、がんや大腸疾患だけでなく、糖尿病やアレルギー、肥満なども関係が指摘されています。いずれも善玉菌優位の腸内環境がプラスに働くことはいうまでもありません。

 腸内細菌のバランスを調べるには、毎日の便をチェックするのが一番です。便が黄色がかった褐色で、臭くなく、バナナ状なら、理想的な腸内細菌と判断できます。私も果物や納豆のほか、食物繊維を十分摂取して、善玉菌を増やすように心掛けています。がん予防にも、腸活が欠かせません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  3. 3

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  4. 4

    巨人阿部監督はたった1年で崖っぷち…阪神と藤川監督にクビを飛ばされる3人の監督

  5. 5

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  1. 6

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  2. 7

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  3. 8

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  4. 9

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  5. 10

    (2)事実上の「全権監督」として年上コーチを捻じ伏せた…セVでも今オフコーチ陣の首筋は寒い