著者のコラム一覧
東敬一朗石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

前立腺肥大症には「髪の毛が増える」副作用があるタイプも

公開日: 更新日:

「前立腺肥大症」に用いられるクスリには大きく分けて3種類あります。今回はまず「ホスホジエステラーゼ5阻害薬」を取り上げます。

 体内には一酸化窒素が存在し、前立腺や尿道の筋肉(平滑筋)を弛緩させる働きを持っています。ところが、この一酸化窒素は体内でホスホジエステラーゼ5という酵素によって分解され、効果を失ってしまいます。ホスホジエステラーゼ5阻害薬はこの酵素の働きを止めることで一酸化窒素の分解を抑制し、一酸化窒素の作用を強めて前立腺や尿道の平滑筋を緩め、症状を改善します。

 じつは、この一酸化窒素についても当連載で以前に触れていて、狭心症の発作時に用いられるニトログリセリンを取り上げたときにお話ししました。ニトログリセリンは血管内に入ると一酸化窒素という物質に変わります。一酸化窒素は血管を広げる作用を持っていて、それにより心臓の血流を良くして狭心症の発作を改善します。

 ニトログリセリンが直接、一酸化窒素に変わるのに対して、ホスホジエステラーゼ5阻害薬は一酸化窒素の分解を抑制するという点は異なりますが、結果として同じ一酸化窒素が効果を発揮するというのは興味深いですね。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    アッと驚く自公「連立解消」…突っぱねた高市自民も離脱する斉藤公明も勝算なしの結末

  2. 2

    クマが各地で大暴れ、旅ロケ番組がてんてこ舞い…「ポツンと一軒家」も現場はピリピリ

  3. 3

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  4. 4

    安倍元首相銃撃裁判 審理前から山上徹也被告の判決日が決まっている理由

  5. 5

    ドジャース大谷翔平が直面する米国人の「差別的敵愾心」…米野球専門誌はMVPに選ばず

  1. 6

    マツコ・デラックスがSMAP木村拓哉と顔を合わせた千葉県立犢橋高校とは? かつて牧場だった場所に…

  2. 7

    自民党は戦々恐々…公明党「連立離脱」なら次の衆院選で93人が落選危機

  3. 8

    今オフ日本史上最多5人がメジャー挑戦!阪神才木は“藤川監督が後押し”、西武Wエースにヤクルト村上、巨人岡本まで

  4. 9

    万博協会も大阪府も元請けも「詐欺師」…パビリオン工事費未払い被害者が実名告発

  5. 10

    ドジャース佐々木朗希の抑え起用に太鼓判も…上原浩治氏と橋本清氏が口を揃える「不安要素」