(1)世界初の2型糖尿病治療薬の人気が本格化…週1回の注射で大幅減量効果

公開日: 更新日:

 医学の進歩は日進月歩。2024年もさまざまな革新的な治療法がブレークした。2型糖尿病治療薬でいえば、2月に慢性腎臓病の適応を取得したSGLT2阻害薬「エンパグリフロジン」(商品名ジャディアンス)の人気が高まっているが、6月に限定出荷が解除された「チルゼパチド」(商品名マンジャロ)も見逃せない。本紙でオモシロ医学論文を好評連載中の薬剤師・青島周一氏に聞いた。

「この薬はグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)とグルカゴン様ペプチド-1と呼ばれる2つのホルモンに作用する世界初の持続性GIP/GLP-1受容体作動薬です。週に1回患者自身が皮下注射することで、インスリンの合成や分泌を促す一方で、血糖値を上げるホルモンであるグルカゴンの分泌を抑制することで血糖値を下げます。さらにGIPは脂肪を分解を促す作用が知られていて、GLP-1は胃の内容物の排泄を遅らせて食後の血糖値上昇を抑えつつ、食欲中枢に作用して満腹感の増大や食欲の低下をもたらします。実際、肥満患者にこの薬を投与した臨床試験では大幅な減量効果が示されたのです」


 むろん、薬である以上、副作用は付きもの。この薬も嘔吐、悪心、腹痛、下痢、便秘、食欲減退などの副作用が報告されている。しかし、副作用以上のメリットが見込めると人気になっているのだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  2. 2

    大谷 28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」とは?

  3. 3

    学力偏差値とは別? 東京理科大が「MARCH」ではなく「早慶上智」グループに括られるワケ

  4. 4

    ドジャース大谷の投手復帰またまた先送り…ローテ右腕がIL入り、いよいよ打線から外せなくなった

  5. 5

    よく聞かれる「中学野球は硬式と軟式のどちらがいい?」に僕の見解は…

  1. 6

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  2. 7

    進次郎農相の「500%」発言で抗議殺到、ついに声明文…“元凶”にされたコメ卸「木徳神糧」の困惑

  3. 8

    長嶋茂雄さんが立大時代の一茂氏にブチ切れた珍エピソード「なんだこれは。学生の分際で」

  4. 9

    (3)アニマル長嶋のホームスチール事件が広岡達朗「バッドぶん投げ&職務放棄」を引き起こした

  5. 10

    米スーパータワマンの構造的欠陥で新たな訴訟…開発グループ株20%を持つ三井物産が受ける余波