(1)世界初の2型糖尿病治療薬の人気が本格化…週1回の注射で大幅減量効果

公開日: 更新日:

 ところが昨年4月発売のこの薬は、8月には限定出荷となった。理由は肥満率が高い米国など海外で予想を上回る需要増があり、将来的にさらなる需要増が予測されたためだ。

 それが今年6月に限定出荷解除となり、解除直後から医師の人気が本格化した。

「この薬の魅力は血糖値の抑制や大幅な減量効果だけではありません。今年8月には米国医師会雑誌にて既存のGLP-1受容体作動薬との比較研究が公表され、どちらが生命予後の改善に役立つかなどが検討され、良い結果が報告されたからです」

 研究は2022年6月1日~2023年6月30日にチルゼパチドまたはGLP-1受容体作動薬で治療をした14万人余りの2型糖尿病患者が対象となった。結果、マンジャロは全死亡率を約42%、主要心血管イベントを約20%、腎機能低下や透析導入などの腎イベントを約48%低下させたことが報告された。

 では、チルゼパチドが最善な2型糖尿病薬かというと、そうとは言い切れないと青島氏は言う。


「体重減少効果についてはほかに高い効果が報告されているGLP-1受動態作動薬があり、直接の比較研究の報告は現時点でありません。また、肥満のない2型糖尿病には別の薬が選択されるべきでしょう。日常的に使う薬なので薬価の問題もあります。大事なのは、患者さんの病状や生活状況に応じた薬を選択することであり、主治医の話をよく理解した上で選ぶべきです」

【連載】2024年に注目された医療

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  2. 2

    巨人・桑田二軍監督の電撃退団は“事実上のクビ”…真相は「優勝したのに国際部への異動を打診されていた」

  3. 3

    クマ駆除を1カ月以上拒否…地元猟友会を激怒させた北海道積丹町議会副議長の「トンデモ発言」

  4. 4

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  5. 5

    クマ駆除の過酷な実態…運搬や解体もハンター任せ、重すぎる負担で現場疲弊、秋田県は自衛隊に支援要請

  1. 6

    露天風呂清掃中の男性を襲ったのは人間の味を覚えた“人食いクマ”…10月だけで6人犠牲、災害級の緊急事態

  2. 7

    高市自民が維新の“連立離脱”封じ…政策進捗管理「与党実務者協議体」設置のウラと本音

  3. 8

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 9

    恥辱まみれの高市外交… 「ノーベル平和賞推薦」でのトランプ媚びはアベ手法そのもの

  5. 10

    引退の巨人・長野久義 悪評ゼロの「気配り伝説」…驚きの証言が球界関係者から続々