著者のコラム一覧
堀田秀吾明治大学教授、言語学者

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

イライラしたとき「モノ」に当たるのは正解なのか?

公開日: 更新日:

 ストレスを感じると、ついつい人やモノに八つ当たりをしてしまい、自己嫌悪に陥る方は少なくないと思います。八つ当たりは、ただでさえ周りの人にとっては迷惑千万ですが、オハイオ州立大学のブッシュマンらの研究(1999年)によれば、本人にもいい影響がないことが示唆されています。

 彼らの研究では、まず被験者たちに「怒りは人にぶつけるよりも枕やパンチングバッグのような無生物にぶつけると発散できる」という嘘の情報を与えました。その後、被験者に書いてもらったエッセーを、サクラが酷評することで被験者たちをイライラさせました。

 そして、被験者たちにストレス発散の方法をリストの中から選ばせたところ、ほとんどの人が虚偽の前情報であるパンチングバッグを選んだといいます。ところが、パンチングバッグを殴った被験者たちは、怒りがおさまるどころか、攻撃的かつ怒りが続く傾向にあり、酷評したサクラはもちろん、関係ない人にまで怒りをぶつけるようになったというのです。イライラしたときにモノに当たるのは、ストレス発散どころか、むしろ逆効果ということが明らかになったのです。

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