6年間の不妊治療の後、泌尿器科で発覚した意外な原因…男性不妊の4割「精索静脈瘤」とは
この病気による血流障害が続くと、精子の質が下がり、DNAが傷つくこともあります。手術によって血流を改善すれば、精巣の状態が整い、精子の運動率や数の向上が見込まれ、実際、顕微授精(顕微鏡で確認しながら選んだ1つの精子を卵子の中に直接注入する方法)レベルだった精子の状態が、手術によって自然妊娠可能な水準まで回復した例も多いです。
■泌尿器科に行って発覚する病気もある
ここで、手術を受けた患者さんの例を紹介します。例えば、Sさん(41歳・会社員)は、奥さんと6年間にわたって妊活を続け、顕微授精や人工授精、さらには鍼や漢方まで試しました。治療の負担は女性側に集中していました。
そんな中、漢方薬局の薬剤師から「精索静脈瘤の可能性」を指摘されたそうです。Sさんが調べて私の外来に訪れ、検査の結果、精索静脈瘤が判明しました。日帰り手術を実施後、自然妊娠で女児が誕生しています。
またTさん(35歳・会社員)夫婦は、2人目が妊娠できずに悩んでいました。1年にわたって顕微授精を続けても結果が出ず、通院していた産婦人科で「ご主人が精索静脈瘤かもしれない」との指摘を受けて来院しています(ちなみに産婦人科が男性不妊を疑い泌尿器科の診療を勧めるケースは稀。その理由は改めて取り上げます)。