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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

日本での「胃がん」は近い将来激減する可能性…ピロリ菌の感染率が影響

公開日: 更新日:

 ピロリ菌は、衛生環境が整っていなかった時代に食べ物や井戸水などから感染したとされ、冷蔵庫や上下水道が整備された今、20代以下の感染率は5%。前述した通り胃がんの原因は、ピロリ菌感染が9割以上ですから、将来的に胃がんが減少することは間違いありません。日本に先駆けて冷蔵庫などの整備が進んだ欧米では、すでに胃がんが希少がんになっています。

 日本で胃がんは長く死亡数1位でした。“がんの代名詞”といったイメージもあるだけに、世界で胃がんが希少がんであることに驚く方もいるでしょうが、これが現実なのです。

 ピロリ菌の株によって違いがあることも分かっています。日本を含む東アジアでは、ピロリ菌の多くがCagA陽性、かつ毒性の高い型です。一方、欧米では、CagA陰性や毒性の低いタイプ。欧米で胃がんが過去のがんになっているのはピロリ菌の株の違いも大きいと思います。インドネシアやフィリピンでも、胃がんは珍しいがんという位置づけです。

 がんは、時代や国の状況を反映する一面もありますが、特に胃がんはその典型かもしれません。

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