(3)殺虫剤が効かない“新種”も出現…ウイルス媒介の蚊の生息域拡大
最近では殺虫剤耐性遺伝子を持つスーパーネッタイシマカが日本の空港内や東南アジアで確認されていて、従来の方法では駆除が難しくなっている。
この蚊はデング熱、ジカウイルス感染症、黄熱の世界的流行の主因とされており、とくに熱帯、亜熱帯では都市型流行を起こしている。世界保健機関(WHO)によると、24年には世界全体で760万人がデング熱に感染し、死者は3000人を超えたという。
コウモリもまた人獣共通感染症の自然宿主として重要な存在だ。新型コロナ(COVID-19)やSARS(重症急性呼吸器症候群)、狂犬病やエボラ出血熱など複数の重篤な感染症の媒介源として知られている。
そんなコウモリも温暖化により寒冷地でも越冬・繁殖できるようになり、高緯度・高標高地での生息域を拡大している。トンネルやビルを新たなねぐらとして利用し、都市部への定着が進んでいる。そのふんに触れた家畜やペットが感染し、最終的に人への感染リスクが高まると指摘されている。長崎大学感染症研究出島特区ワクチン研究開発拠点拠点長の森田公一同大教授が言う。