お国言葉の効用…手術前、同郷の看護師さんに接してもらう
遠方から来て、景色も空気も違い、周囲の言葉が違うなどして「アウェー感」に包まれることで、不安が絶頂に達すると思うからです。ただでさえ不安になる手術前だから、少しでもリラックスして欲しいのです。お国言葉の効用もあると思うのです。
私は中学1年生の時に東京に来ました。久米川の駅前の八百屋さんでお母さんとこどもが話しているのを聞いて、とたんに寂しい気持ちがしたことを思い出します。話している言葉が自分のとは全然違っていたからです。患者さんもそういう思いをしているだろうなぁ、と思えてならないのです。
出身地は皆さんの人格をつくっています。映画でも「翔んで埼玉」や「お前はまだグンマを知らない」では隣県の人々も含めて良識ある郷土愛が描かれています。
幼いころを育んだ皆さんの出身地は、皆さんの人生のキャンバスです。その上に皆さんの人生が描かれたのです。
今年、なんだか阪神タイガースの投手陣がえらく調子がいいようです。その一人が昨年のドラフト1位の伊原陵人選手です。彼は私が通った奈良県橿原市の晩成小学校で野球を始めた卒業生です。橿原市はあの神武天皇ご即位の地、大和三山に囲まれた建国文化都市。市章は「金のとび」。周辺には、古代天皇35柱の宮都、15の陵墓が散らばっています。小学校の同窓生たちは、タイガースの快進撃と一緒にさぞかし喜んでいることでしょう。