若者に広がる「ゾンビたばこ」は命にかかわる危険ドラッグだ
最近、ニュースで「ゾンビたばこ」という言葉を耳にした方も多いのではないでしょうか。これは電子たばこのリキッドに、医療用の鎮静剤「エトミデート」を混ぜて吸引するという、若者の間で広がっている危険ドラッグの俗称です。
このエトミデートは日本では未承認ですが、海外では短時間作用性の静脈麻酔薬として全身麻酔や鎮静の導入に使用されています。それが、東南アジアを中心に電子たばこなどで吸引する危険ドラッグとしても広がっているのです。
エトミデートは医療現場での注射投与がベースです。吸引では薬剤の血中濃度が制御できず、副作用が起こりやすくなる危険性も考えられます。吸引すると、意識混濁や呼吸抑制、手足のけいれん、極度の眠気、泥酔したような状態など、まるでゾンビのような歩き方や状態になるため、「ゾンビたばこ」や「space oil」と呼ばれて問題になっているのです。
日本では2024年秋ごろから沖縄の若者の間で急速に流行し、使用者が頭を打って搬送される事例なども報告されています。こうした状況を受け、今年5月には厚労省によりエトミデートが指定薬物に追加され、所持や使用、入手が法的に禁止されました。