末期がんの85歳男性「死ぬ思いでお惣菜を買ってきて、お粥をなんとか食べたけど…」
「じゃあ、役所の方に3カ月だけ施設に入れるか聞いてみますね」(私)
長年1人暮らしをしていたためか、ADL(日常生活動作)が衰えているとはいえ、85歳とは思えないほど家事に関しては自立意識の強い方でした。
ある時、訪問看護師さんからこんな報告がありました。
「本人なりに“もうだめかもしれない”と自覚されていて、先生から体の状態と今後の予後について説明してほしいと希望されています。また、“身辺整理をしたい”ともおっしゃっています。次回ご説明いただけますか」
患者さんが心を開き、本音を語ってくださるかどうかは、その後の療養生活のQOL(クオリティー・オブ・ライフ)にも影響を与える、非常に重要なことです。
こうして自分の体と真剣に向き合う覚悟を決め、最後に私たちを頼ってくださったこの患者さんに対して、私たちもまた、とことん向き合うことを決めたのでした。



















