心霊スポットとして注目されることも…いずれ日本は「廃院」の山となってしまう
しかし、何といっても病院の廃虚です! 心霊スポットとして注目されることもあるようです。人がたくさん亡くなっている場所ですから。
角川映画の「犬神家の一族」(1976年)で、島田陽子さんの熱演の舞台として病院跡の廃虚が登場したシーンは印象的でした。私のような昭和世代のおじさんにとっては、決して忘れることのできない場面でしょう。詳しい説明は差し控えておきます。
しかし何といっても、最も美しく、幻想的な「廃院跡」はロシアの巨匠、アンドレイ・タルコフスキーの「ノスタルジア」(1983年・伊)に出てくる、床一面に透き通った水が流れる、不思議な病院の廃虚でしょう。
アンドレイ・タルコフスキーは「映像の詩人」として知られる大巨匠です。少なくとも「映画やってます」みたいな人は絶対に外せない映画監督ですが、「何とも言えないね……でもよかった……」「うん、なんとも言えないけど……すばらしかった……」と誰もが感想を漏らす名作を残しました。
そんな名作ではベートーベンの第九が突然鳴り響き、床には水たまり、部屋の中をイヌが歩き回ったり、なぜか部屋の中が土砂降りになります。ネットで調べると「ノスタルジア」の撮影に使われたのは、トスカーナにある「水に沈む教会」でした。先日もこのエッセーのためにDVDを見なおしましたが、私の67年の人生の経験と知識をしても「なんのこっちゃ、ぜんぜんわかりまへ~ん!」でした。


















