末期がんの88歳女性は突然の昏睡から回復…限られた時間を家族とともに
ある日、訪問看護師から連絡が入りました。
「対光反射が弱く、瞳孔が開いています。痛みへの反応も乏しく、指の爪を圧迫しても反応がありません」
私は急きょ往診に向かい、近くに住む娘さんにも立ち会っていただきました。
「脳幹の反応が弱くなっています。転移した腫瘍による圧迫の可能性があり、今後、意識が戻らない可能性が高い状態です」(私)
診察の結果、想像以上に症状は進行していました。そこで改めてご家族の意向を確認すると、「点滴など、できることはしてあげたい」とのことでした。
「可能性は低いのですが、もともとてんかん発作がある場合、ごくまれに徐々に意識が戻ることがあります。明日も経過を見させていただきます。何かご質問はありますか?」(私)
「いえ、大丈夫です」(娘)
「急に悪化したように見えるかもしれませんが、こうした経過は珍しくありません。脳が急激に障害されると、症状が一気に現れることがあります。ただ、現在は昏睡状態のため、苦痛は感じていない状態です」(私)


















