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下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

末期がんの88歳女性は突然の昏睡から回復…限られた時間を家族とともに

公開日: 更新日:

 ある日、訪問看護師から連絡が入りました。

「対光反射が弱く、瞳孔が開いています。痛みへの反応も乏しく、指の爪を圧迫しても反応がありません」

 私は急きょ往診に向かい、近くに住む娘さんにも立ち会っていただきました。

「脳幹の反応が弱くなっています。転移した腫瘍による圧迫の可能性があり、今後、意識が戻らない可能性が高い状態です」(私)

 診察の結果、想像以上に症状は進行していました。そこで改めてご家族の意向を確認すると、「点滴など、できることはしてあげたい」とのことでした。

「可能性は低いのですが、もともとてんかん発作がある場合、ごくまれに徐々に意識が戻ることがあります。明日も経過を見させていただきます。何かご質問はありますか?」(私)

「いえ、大丈夫です」(娘)

「急に悪化したように見えるかもしれませんが、こうした経過は珍しくありません。脳が急激に障害されると、症状が一気に現れることがあります。ただ、現在は昏睡状態のため、苦痛は感じていない状態です」(私)

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