再生医療の進化が「人生120年時代」を実現させるカギになる
そして、心臓は「パーツを再生させて入れ替える手法」をやりやすい臓器といえます。主に筋肉で構成されている心臓の構造は比較的単純なうえ、心筋の一部が壊死したとしても、残った正常な部分は生理学的に問題なく働いて、ポンプの役割は維持します。もちろん、全体的な心機能は低下して、放置すれば負担が大きくなって疲弊していきますが、局所がダメになったとしても、心臓全体が一気にダメになるわけではないのです。つまり、機能しなくなった部分を再生させて入れ替えれば、丸ごと交換しなくても問題ないといえるのです。
■ほかの臓器にも広がる可能性
心臓の領域で、パーツを再生させて入れ替える再生医療が実現していけば、心臓以外の臓器や組織にも広がっていく可能性があります。
たとえば腎臓です。腎臓は、細い毛細血管がたくさん集まった糸球体が左右で200万個もあるような複雑な構造をしていて、血液中の毒素や余分な水分をろ過して尿をつくったり、体内の水分量、ナトリウムやカリウムといった電解質の濃度を一定に保ったり、さまざまなホルモンを分泌するなど、多くの重要な役割を担っている臓器です。しかし、心臓と同じように、腎臓の一部が病気などでダメになってしまっても、正常に機能する部分が残っていれば、腎臓全体の役割は維持させることが可能です。たとえば、残った正常な部分に体内の水分や電解質のバランス調整は任せ、血液のろ過は人工透析のような方法に代替させるなどすれば、腎臓全体の役割を果たすことができます。ですから、それぞれの機能を担っている部分に分化させた細胞を再生医療によってつくることができれば、腎臓全体の機能を回復させられる可能性があるのです。


















