画期的な膵臓がん治療薬の登場は心臓治療も恩恵を受ける可能性がある
こうした膵臓がんに対する画期的な新薬が登場したことは、心臓治療を進歩させるきっかけになるかもしれません。ほかのがんに対しても分子標的薬をはじめとした新たなタイプの薬が開発されるのは間違いないでしょうし、その過程で心臓病に効果的な新薬が生まれる可能性があるのです。
実際、もともとは他の病気の治療薬として開発された薬が、心臓病の治療薬として使われたケースはいくつもあります。たとえば、抗不整脈薬のニフェカラントは、当初は抗がん剤として研究開発されていた薬でした。しかし開発の過程で、がん細胞の抑制効果よりも、心臓のカリウムチャネルを強力に遮断する作用があることがわかり、激しい不整脈をストップさせるのに適していたため開発が方向転換され、最終的に抗不整脈薬として承認されることになりました。いまでは心室細動や持続性心室頻拍といった致死性不整脈の心肺蘇生や急性期治療に使われています。
また、糖尿病治療薬として開発されたSGLT2阻害薬も、いまは心不全治療薬として処方されています。この薬は、腎臓で糖を再吸収する役割を担っているSGLT2の働きを阻害し、血液中の余分な糖を尿に排出させることで血糖を下げる効果があります。それ以外にも、体内の余分な水分や塩分を排出して血圧を下げ、心臓や腎臓にかかる負担を軽くする優れた効果があることが判明し、海外の臨床試験ではSGLT2阻害薬の使用で心不全による入院リスクが35%低下したことが報告されたことで、心不全の治療薬としても承認されたのです。


















