(11)夜、体の防御システムはどう動くのか? 体内時計と免疫の関係
睡眠不足は、風邪のかかりやすさにも関係する。2021年に発表された複数の研究の分析では、睡眠時間が短い人は、そうでない人に比べて上気道感染症にかかるオッズが約1.3倍だった。また、2015年の研究では、睡眠時間が5時間未満の人は、7時間を超える人より風邪をひきやすい傾向が示された。ハーバード大学医学部&ソルボンヌ大学医学部客員教授の根来秀行医師が言う。
「睡眠不足は、免疫細胞の働きや炎症反応の調節に影響すると考えられています。感染症から体を守るには、病原体を排除する反応だけでなく、炎症が過剰にならないよう制御する仕組みも必要です。質、量ともに十分な睡眠は、この防御システムを支え、整えるためのとても重要な要素なのです」
発熱は、体内時計と免疫反応が関係している。健康な人の体温は一般に早朝に低く、午後から夕方にかけて高くなる。体内時計が日中の活動に適した生理状態を整えるためだ。感染症では、体温の日内変動に加え、免疫細胞や炎症性サイトカインの働きにも日内変動があるため、夕方から夜にかけて発熱が目立つことがある。
ウイルスなどを察知した免疫細胞は、インターロイキン1やインターロイキン6などのサイトカインを放出する。これらの信号によって脳の視床下部でプロスタグランジンE2などが働き、体温の設定値が引き上げられる。体は熱を逃がしにくくし、体温を上げる。こうした発熱反応は、免疫細胞の働きを支え、病原体に対する防御反応の一部となる。


















