福島県双葉町の「光と影」(下)東日本大震災から14年…病院も学校も介護施設もない

公開日: 更新日:

 東日本大震災から11日で14年が経過した。前回の当欄(3月8日号)では、原発事故が起きた福島県の中で徐々に居住者が増えている双葉町の現状を紹介。町の未来に光が見えつつあることが分かったが、課題もある。今回は「影」の側面に焦点を当てる。

  ◇  ◇  ◇

「メディアは双葉町の居住者が増えてきていると報じてますけど、まあ、実態とはかけ離れています。だって、もともと7000人くらい住んでいたのに、今は増えたと言ったって180人。町の体をなしてないよね」

 こう嘆くのは、町内在住の50代男性だ。原発事故発生後、他の自治体で避難生活を送っていたが、2022年8月に避難指示が解除され、一部地域で帰還が可能となったことを受け、戻ってきた。町で遅くまでやっている飲み屋がないため、仕事終わりの一杯は「もっぱら隣町の浪江町まで行ってます」とこぼした。

 とはいえ、22年8月の避難解除に先駆け、20年3月に町内の一部区域で立ち入り規制が緩和。それに伴い、20年10月、町の中心に「産業交流センター」が整備された。複数の飲食店の他、コワーキングスペースなどが入る複合施設には、町で唯一のコンビニも入居する。

■関連キーワード

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  2. 2

    大谷 28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」とは?

  3. 3

    学力偏差値とは別? 東京理科大が「MARCH」ではなく「早慶上智」グループに括られるワケ

  4. 4

    ドジャース大谷の投手復帰またまた先送り…ローテ右腕がIL入り、いよいよ打線から外せなくなった

  5. 5

    よく聞かれる「中学野球は硬式と軟式のどちらがいい?」に僕の見解は…

  1. 6

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  2. 7

    進次郎農相の「500%」発言で抗議殺到、ついに声明文…“元凶”にされたコメ卸「木徳神糧」の困惑

  3. 8

    長嶋茂雄さんが立大時代の一茂氏にブチ切れた珍エピソード「なんだこれは。学生の分際で」

  4. 9

    (3)アニマル長嶋のホームスチール事件が広岡達朗「バッドぶん投げ&職務放棄」を引き起こした

  5. 10

    米スーパータワマンの構造的欠陥で新たな訴訟…開発グループ株20%を持つ三井物産が受ける余波