著者のコラム一覧
白石 あづさライター&フォトグラファー

会社を辞め3年にわたる世界旅行へ。訪ねた国は100カ国以上。著書に「逃げ続けたら世界一周していました」(岩波書店)、「中央アジア紀行 ぐるり5か国60日」(辰巳出版)、「尾畠春夫のことば」「佐々井秀嶺、インドに笑う」(ともに文芸春秋)ほか。

(1)普段から「逃げグセ」をつけておこう 家にこもっているより心の回復が早い

公開日: 更新日:

 みなさんは「つらい時に旅する気力もないぜ!」とおっしゃるかもしれませんね。確かに旅はお金も時間も体力も必要です。ですが普段から「逃げグセ」をつけて「夜逃げ旅」の準備をしておけば旅へのハードルは低くなりますし、旅に出たほうが家にこもっているより心の回復が早いのです。

 これは私の場合ですが、何もかも嫌になっている時に家のテレビや窓の外から楽しそうな会話が聞こえてくれば「なぜ自分だけ」と情けなくなります。しかし、どこか南の島などへ旅立ち、日本とは百八十度違う常識や価値観に触れるうち、「死にたいくらい嫌だったけど、あれはたいしたことがなかった」と俯瞰して見られるようになります。同じ1週間でも、どうでもよくなるスピードが速いのです。

 話はそれますが、行方不明の2歳児を発見して“スーパーボランティア”と呼ばれた尾畠春夫さんを覚えていますか。昔、彼に取材した時、こんなエピソードを話してくれました。東北の被災地で県外から来たボランティアの青年が現地の女性に恋したものの、ふられてしまったそうです。「毎日、胸が苦しいんじゃー」と訴える男性に尾畠さんは「彼女が吐いた息をあなたが同じ町で吸ってるからっちゃ! どこか1週間、遠くに行ってくるといいわ~」と伝えました。バイクで旅立った男性は1週間後、「すっきりしたんじゃー」と戻ってきたのだとか。

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