著者のコラム一覧
大竹聡ライター

1963年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業後、出版社、広告代理店、編集プロダクションなどを経てフリーに。2002年には仲間と共にミニコミ誌「酒とつまみ」を創刊した。主な著書に「酒呑まれ」「ずぶ六の四季」「レモンサワー」「五〇年酒場へ行こう」「最高の日本酒」「多摩川飲み下り」「酒場とコロナ」など。酒、酒場にまつわるエッセイ、レポート、小説などを執筆。月刊誌「あまから手帖」にて関西のバーについてのエッセイ「クロージング・タイム」を、マネーポストWEBにて「大竹聡の昼酒御免!」を連載中。

(19)真冬の蕎麦屋酒

公開日: 更新日:

 たぬき蕎麦で締めることしたのだが、香りのいいつゆを啜り、蕎麦を啜ると、体と心が感じる温みはさらに深まり、いよいよ幸せな気分になって、最後の徳利を頼んだ。汁を啜りながらの汁飲み時間である。

 ずいぶん昔。登戸の対岸、和泉多摩川のあたりで、釣りをしたことを思い出した。今よりずっと水質が悪かった時代の多摩川で、子供だった私たちは、釣りを楽しんだのだ。今も、そんな子供たちはいるのだろうか。もう少し暖かくなったら、安い延べ竿を1本買って、訪ねてみようか。真冬の寒い日。一人きりで半日歩き、たどり着いた蕎麦屋で、うまい蕎麦酒を味わいながら、そんなことを思った。

 店にはそれ以来ご無沙汰をしているが、調べてみると、同じ登戸で装いを変えて、さらに本格的な酒肴と銘酒をそろえた店になっているらしい。来週にでも出かけてみるか。腹の底から温まる幸せな時間を過ごすために。

【連載】大竹聡 大酒の一滴

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