(19)真冬の蕎麦屋酒
たぬき蕎麦で締めることしたのだが、香りのいいつゆを啜り、蕎麦を啜ると、体と心が感じる温みはさらに深まり、いよいよ幸せな気分になって、最後の徳利を頼んだ。汁を啜りながらの汁飲み時間である。
ずいぶん昔。登戸の対岸、和泉多摩川のあたりで、釣りをしたことを思い出した。今よりずっと水質が悪かった時代の多摩川で、子供だった私たちは、釣りを楽しんだのだ。今も、そんな子供たちはいるのだろうか。もう少し暖かくなったら、安い延べ竿を1本買って、訪ねてみようか。真冬の寒い日。一人きりで半日歩き、たどり着いた蕎麦屋で、うまい蕎麦酒を味わいながら、そんなことを思った。
店にはそれ以来ご無沙汰をしているが、調べてみると、同じ登戸で装いを変えて、さらに本格的な酒肴と銘酒をそろえた店になっているらしい。来週にでも出かけてみるか。腹の底から温まる幸せな時間を過ごすために。
















