百貨店業界から「免税廃止論」への悲鳴…インバウンド急減で株価も軒並み低迷

公開日: 更新日:

 もっとも日本百貨店協会が年初に発表したところでは、24年はインバウンドの売り上げが前年比85.9%増、客数が74.3%増加だったため、24年が良過ぎたともいえる。だが6月にはH2O、松屋の旗艦店は前年比2桁で売り上げが減少し、三越伊勢丹HDも1割近く減少となると、やはり事は深刻である。

「さらに細かく見れば、中国人の消費単価が大きく下がっています。つまり彼らが高い買い物をしなくなった。国内は堅調だが、このインバウンドの急速な落ち込みが4月に見られ、5月6月と続いた。それと連動して、株価が下げ止まっているというのが現状です」(同前)

 インバウンド絡みでいえば、7月5日の大地震の予言による風評被害も言われたが、百貨店の売り上げ減は4月からの構造的な落ち込みなので軽微と思われる。それよりも大きな要因は、円高や相互関税の影響と考えられ、こと中国に限れば、国内の不況が旅行客の財布の紐も固くさせているのだろう。

 そんなインバウンド消費落ち込みへの懸念をよそに、維新だけでなく自民党内でも免税廃止を求める動きが海外でも伝えられ、訪日客の消費マインド低下にさおをさしかねない雰囲気である。

 国民の人気取りでアブハチ取らずに走る政治に対し、百貨店業界からさらなる悲鳴が聞こえてきそうである。

 (横関寿寛/ジャーナリスト)

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    TOKIO解散劇のウラでリーダー城島茂の「キナ臭い話」に再注目も真相は闇の中へ…

  2. 2

    参政党・神谷宗幣代表が街頭演説でブチまけた激ヤバ「治安維持法」肯定論

  3. 3

    国分太一だけでない旧ジャニーズのモラル低下…乱交パーティーや大麻疑惑も葬り去られた過去

  4. 4

    ホリエモンに「Fラン」とコキ下ろされた東洋大学の現在の「実力」は…伊東市長の学歴詐称疑惑でトバッチリ

  5. 5

    外国人の「日本ブーム」は一巡と専門家 インバウンド需要に陰り…数々のデータではっきり

  1. 6

    「時代に挑んだ男」加納典明(25)中学2年で初体験、行為を終えて感じたのは腹立ちと嫌悪だった

  2. 7

    近藤真彦「ヤンチャでいたい」にギョーカイ震撼!田原俊彦をも凌駕する“リアル・ジャイアン”ハラスメント累々

  3. 8

    「モーニングショー」コメンテーター山口真由氏が5週連続欠席…気になる人間関係と体調を心配する声

  4. 9

    参院選終盤戦「下剋上」14選挙区はココだ! 自公の“指定席”で続々と落選危機…過半数維持は絶望的

  5. 10

    参政党の躍進は東京、神奈川だけにあらず? 地方では外国人規制に“地元ネタ”織り込み支持拡大狙い