長嶋がすがった幻の逆転ホームラン

公開日: 更新日:

 形の上では辞任となった翌日、長嶋はコーチ全員を自由が丘の「楼蘭」という中華料理店に呼んだ。投手コーチだった高橋善正氏が当時を振り返る。

「そこは巨人がよく使っていた馴染みの店です。長嶋さんは相当悔しかったと思う。でも、ベンチであれだけ感情を表に出す人が、愚痴や未練がましいことは一切言わなかった。『君たちには申し訳ないが、私は辞めることになった』と淡々と語った。監督が言ったわけではないが、9月ごろから3位になれば監督は続投するとみんな思っていた。だから選手の尻を叩いて最終戦は全力で勝ちにいき、安心して帰京したらあの(解任)会見です。コーチ陣からは『巨人って何なんだよ!』という怒りの声が上がった。もちろん、そんなことはその場でしか言えない。悔しさ、怒り、失望などが錯綜し、豪華なコース料理はちっともおいしくなかった」

 長嶋が監督復帰会見を行うのはそれから12年後、92年10月のことである。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    年収1億円の大人気コスプレーヤーえなこが“9年間自分を支えてくれた存在”をたった4文字で表現

  2. 2

    くら寿司への迷惑行為 16歳少年の“悪ふざけ”が招くとてつもない代償

  3. 3

    映画「国宝」ブームに水を差す歌舞伎界の醜聞…人間国宝の孫が“極秘妻”に凄絶DV

  4. 4

    “やらかし俳優”吉沢亮にはやはりプロの底力あり 映画「国宝」の演技一発で挽回

  5. 5

    山尾志桜里氏“ヤケクソ立候補”の波紋…まさかの参院選出馬に国民民主党・玉木代表は真っ青

  1. 6

    ドジャース佐々木朗希 球団内で「不純物認定」は時間の問題?

  2. 7

    フジテレビCM解禁の流れにバラエティー部門が水を差す…番宣での“偽キャスト”暴露に視聴者絶句

  3. 8

    国分太一は“家庭内モラハラ夫”だった?「重大コンプラ違反」中身はっきりせず…別居情報の悲哀

  4. 9

    輸入米3万トン前倒し入札にコメ農家から悲鳴…新米の時期とモロかぶり米価下落の恐れ

  5. 10

    慶大医学部を辞退して東大理Ⅰに進んだ菊川怜の受け身な半生…高校は国内最難関の桜蔭卒