選手の醜態報じず…日本のスポーツを歪めるマスコミの罪

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大新聞は五輪スポンサー

 事実に目をつむることで繰り返されているのが、テニス錦織圭(27)の醜態だ。試合中にイライラが募るとラケットを投げたり、壊したりすることが、海外メディアでも取り上げられるようになった。

 池田がクラブ超過で2罰打を受けた大会の最終日、今平周吾(24)は最終18番(パー5)の2打目が池につかまるとクラブを思い切りキャディーバッグに投げつけた。錦織にしろ、今平にしろ、自分の未熟さを用具に八つ当たりするのはプロとして情けないし、ファンにとっては見苦しい限り。こういう事実も多くのメディアは一切触れない。

 前出の工藤氏が言う。

「朝日、読売、毎日、日経という大手4紙は、20年東京五輪の公式スポンサーになっている。東京五輪は本番に向けて数々の問題がすでに噴出し、これからも出てくることが予想される。その時、五輪の応援団になった新聞社は真実に迫る報道ができるのか。巨人低迷の本質にも目をそらし、選手のマナー違反もそのまま。日本のスポーツ界を歪めているのはマスコミという気がしてなりません」

 国内の大手4紙がスポンサーになった五輪は、84年ロス大会から商業主義が拡大。国際オリンピック委員会(IOC)は、テレビ中継の視聴率を重視し、大会種目の採用、除外を決める。各競技団体はIOCの意向を忖度し、テレビ向けに競技時間を短縮するためルールを変更する。08年北京大会を最後に除外された野球が東京で開催都市提案の追加種目として復活するため、9回制を7回制に短縮することを検討したのはその典型だ。競技の特性を捨ててまで、媚びへつらっているのに、そういう指摘もほとんどない。

 近年の五輪開催には、莫大な費用がかかることはもはや常識だ。12年ロンドン大会は約1兆2000億円、14年のソチ冬季大会は約2兆3000億円、昨年のリオ大会も約1兆3000億円も使ったといわれている。夏季大会なら3週間にも満たないイベントに巨額が投じられることから、開催地に立候補するはずだった都市の辞退や撤退が続出している。そんなカネまみれの五輪の舞台で活躍することがトップアスリートの夢であり、自らの収入増につながるため禁止薬物に手を染める選手が後を絶たない。

 メダル量産のための予算増、酷暑にテロ対策、外国人の受け入れ態勢……まだまだ問題山積の東京五輪なのに、国民に真実を伝えるべき大新聞は五輪のスポンサーであり、大手スポーツ紙の多くはその関連会社だ。

「この国のスポーツジャーナリズムには危機感を覚える」(前出の工藤氏)という声はもっともだ。

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