津田俊樹
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津田俊樹スポーツライター

産経新聞記者として1992年アルベールビル冬季、同年バルセロナ夏季五輪を取材。運動部長、論説委員を経て、現在フリー。2019年に東京五輪開催をめぐる問題点を指摘する「ブレないスポーツ報道」(言視舎)を出版。

<5>東京五輪・パラリンピックに向け勝利至上主義の再考を

公開日: 更新日:

 危険なタックルを受けたにもかかわらず、関学大は試合放棄の決断を下さなかった。

「選択肢としては、ありました。でも、それをしなかった後輩たちを褒めたいです。あの試合、命の危険さえあったのに最後までプレーを続けた。よくぞ、やった、ええもんで帰ってきてくれたことが一番うれしい」

 では、どうすれば流れを断ち切れたのか。審判が一発退場にしていれば、こんな大事に至らなかった。公開された映像に、コーチが加害選手をサイドラインに戻すよう促すシーンがあるものの、審判が即刻、断を下していれば、権限を持っているのに、という疑問が残る。ゲームコントロールができていなかったと指摘せざるを得ない。もっと、ジャッジの妥当性について議論してほしい。

 今回の件の根底には、なりふり構わず、手段を選ばずの「勝利至上主義」があるといわれるが、決してアメフトに限られたことではない。

 スポーツといえば「汗と涙と感動」という言葉が連想される。2020年東京五輪・パラリンピックに向けて、その風潮が強まろうとしている。美辞麗句に終わらせないためにも、一度、立ち止まって、悪質タックル問題の教訓を学ぶべきではないか。そうしなければ、あまりにもむなしい。

(おわり)

【連載】日大アメフト殺人タックル事件の深層

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