著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

15歳に敗れた大坂「スポーツマンシップ賞」の特殊メンタル

公開日: 更新日:

■生き馬の目を抜く世界

 実は冒頭の美談には異論があった。「負けた選手は放っておくべき」「余計なお世話」という声が、選手間にかなりあった。女子テニスは、もはや原点だった社交性をかなぐり捨て、いまやツアー賞金総額が1億7900万ドル(約195億円=19年実績)というプロフェッショナルの激戦場。チーム体制でポイントを奪い合う生き馬の目を抜く世界で、自分の感情に正直な「天然」は理想であっても絶対ではない。

「ナオミのテニスは前の試合でよく分かった」

 ガウフ陣営に手の内を読まれ、イメージ通りの筋書きが描けず、凡ミス30本を繰り返して自滅。風が吹いた2回戦も、中国選手の持久戦に苛立ち、凡ミス30本でラケットを叩きつけ蹴飛ばした。

「子供っぽかった」と反省したが、テニスはメンタルが7割も8割も占めるとされ、ライバルは感性豊かな大坂を内側から崩せると見てさまざまな揺さぶりをかけている。

 昨秋、データに強いウィム・フィセッテを新コーチに招聘した。武器であるサーブとフォアハンドをさらに強化し、攻撃性を前面に押し出す方針だが、今年は東京オリンピックを控え、どうしてもエモーショナルなシーズンになる。いい人だけでは勝てない――焦らずに年輪を刻む一年と見た方がいいようだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    アッと驚く自公「連立解消」…突っぱねた高市自民も離脱する斉藤公明も勝算なしの結末

  2. 2

    クマが各地で大暴れ、旅ロケ番組がてんてこ舞い…「ポツンと一軒家」も現場はピリピリ

  3. 3

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  4. 4

    安倍元首相銃撃裁判 審理前から山上徹也被告の判決日が決まっている理由

  5. 5

    ドジャース大谷翔平が直面する米国人の「差別的敵愾心」…米野球専門誌はMVPに選ばず

  1. 6

    マツコ・デラックスがSMAP木村拓哉と顔を合わせた千葉県立犢橋高校とは? かつて牧場だった場所に…

  2. 7

    自民党は戦々恐々…公明党「連立離脱」なら次の衆院選で93人が落選危機

  3. 8

    今オフ日本史上最多5人がメジャー挑戦!阪神才木は“藤川監督が後押し”、西武Wエースにヤクルト村上、巨人岡本まで

  4. 9

    万博協会も大阪府も元請けも「詐欺師」…パビリオン工事費未払い被害者が実名告発

  5. 10

    ドジャース佐々木朗希の抑え起用に太鼓判も…上原浩治氏と橋本清氏が口を揃える「不安要素」