著者のコラム一覧
元川悦子サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

34歳のベテラン吉田麻也が見据える未来「もう一度、アジアの頂点を取り戻す」

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発信力、洞察力、外国語力を併せ持った貴重な人材

「ドイツはどこのチームも<人につく戦い方>をする傾向がある。僕の長所とは違う部分を求められることも多いんです。だからこそ1対1で負けない、マンマークで捕まえるといった自分の得意じゃないところを伸ばしていかないといけない。そう思って取り組んでいます。人に強く行って潰せるかどうか、やっぱり非常に重要。トライはしていますよ」

 同じドイツで活躍する長谷部誠(フランクフルト)も35歳を過ぎてからCBとしての才能を大きく開花させたが、吉田もまだまだ第一線で通用する年齢だ。

 カタールW杯で39歳のポルトガル代表DFペペ(ポルト)、38歳のブラジル代表DFチアゴ・シウバ(チェルシー)がタフに戦っていたのを見れば、3年後のW杯も十分に可能性はあるはず。

 シャルケを残留へと導けば、森保監督も吉田を呼ばざるを得なくなるだろう。

「自分は年寄り扱いされた途端に『いや、違う』ってなっちゃう(笑)。僕は昔から抜くところは抜くっていうのが、うまい方だと思ってます。どこで(力を)出して、どこで抜くか、分かっているから『結局、なんだかんだ言って、吉田は(試合に)いっぱい出てるな』ということになるケースが多かった。今までもそうだったし、今後もそうなるようにしていきたいですね」と吉田はユーモアを交えながら先を見据えていた。

 これだけの発信力、洞察力、外国語力を併せ持った人材は今の日本代表にいない。

 そう考えると森保監督も、なかなか彼を外しづらいのではないか。

 仮に新体制初陣となる3月24日のウルグアイ戦、同28日のコロンビア戦の代表メンバー呼ばれたとしたら、彼はこれまで以上のパッションをチームにもたらすはずだ。

■どうやって壁を超えていくのか、考える戦いがまた始まる

「日本サッカー発展のためには、次のアジア杯は絶対に獲らないといけない。歩みを止めてはいけないんです。今回のカタールW杯の反省を生かしてもう一度、アジアの頂点を取り戻すこと。それが日本のやるべきこと。次の3年間に向けて、日本全体でどうやって壁を超えていくのか、考える戦いがまた始まると思います。これからのサッカーは強度がどんどん高くなっていく。強いチームは1人で守れるDFが増えているので、日本もそうなっていかないといけない。僕はそう思います」

 この男が、いるかいないかで代表の雰囲気はガラリと変わる。まずは15日のメンバー発表に注目だ。

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