体操金メダリスト塚原直也さんは不動産会社の嘱託社員 体操クラブの総監督を辞したワケ

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塚原直也さん(46歳)

 パリ五輪が近づいている。日本のお家芸・体操にも期待がかかる。2004年のアテネ五輪では、日本は男子団体総合で28年ぶりに金メダルを獲得した。そのときのメンバーの1人が塚原直也さん。父・光男さんと、史上初の親子金メダリストとしても話題になった。塚原さん、今どうしているのか。

  ◇  ◇  ◇

 塚原さんに会ったのは、立川駅から車で約10分の不動産会社「立飛ホールディングス」本社会議室。元フィギュアスケート選手・浅田真央の「MAO RINK」を建設していることで知られる会社だ。

「2年前、朝日生命が体操事業への協賛を終了したので、体操クラブの総監督を務めていた僕も退任し、ここの嘱託社員に迎えていただきました。といっても、僕は不動産の仕事ではなく、体操の指導や普及に努めているのですが」

 塚原さん、まずはこう言った。差し出された名刺を見ると、肩書は「地域貢献推進室 体操ディレクター」となっている。

「立飛は地域貢献として、会社の敷地にアリーナやドームを建設し、大相撲やバスケなど、いろんなスポーツの支援をしています。それで、前職時代、全日本シニア体操クラブ連盟の理事長の父と一緒に、『アリーナ立川立飛』でシニア大会を開催させていただくお願いをしに、たまたまここへ来たとき、朝日生命後の僕の行き先についても相談させていただきました」

 しかし、朝日生命体操クラブを運営してきた塚原体操センターは存続している。両親の運営する塚原体操センターの仕事に専念する考えはなかったのだろうか。

「今までとまったく違う環境に身を置きたい、と思ったんです。日本体操協会の仕事はしないのか? 両親のゴタゴタを見聞きしていたので、遠慮させていただいています(笑)。僕は38歳で現役を引退して指導者になり、指導を追求したい思いは強いのですが、ずっと体操だけをやってきたので、一般社会常識を身につけたい気持ちもありました」

 立飛に来てから、挨拶の仕方や名刺の渡し方など、基本から学んだ。

「最初は、何をどうすればいいかもわからず戸惑いました。執行役員に、アテネ五輪で実況をされた刈屋富士雄元NHKアナウンサーがいらっしゃり、僕の上司なので、刈屋さんや同僚の方、知り合いらに、少しずつ教えてもらいました。パソコンもほとんどいじったことがなかったので、体操の普及活動や指導の報告書を作るのにも、まだけっこう時間がかかってしまいますね。でも、新しいことを始めるのはドキドキして楽しいですよ」

 塚原さん、前向きだ。

 ウイークデーは毎朝5時起きで、世田谷区内の自宅から約1時間かけ、電車とバスを乗り継ぎ、8時半までに出社。午後からスポーツウエアに着替え、同社のアリーナや地元の幼稚園や小・中学校で体操教室を行っている。

「父が『バディスポーツ幼児園』という私立幼稚園と共同で、この2月から八王子の『バディ塚原体操クラブ』を運営しているので、僕も週1日はそこで女子高生ら約10人に本格的な指導をしています。そのうちの5人は、4月におこなわれた全日本選手権に出場しましたよ。パリ五輪出場は難しいと思いますが」

 現役中の12年に、5歳年下の航空会社勤務だった女性と結婚。小5の長男、小3の次男、小1の三男の家族5人暮らし

「自分が一人っ子で寂しかったので、子どもは多いほうが楽しいかな、と思ったんです。実際、3人もいると、にぎやか。親の言うことはききませんから(笑)、子どもに体操を無理強いしてはいません。やっているのは、次男だけですね。子育ては休日に、子どもの習い事の送り迎えをしています。でも、それ以外は、平日の睡眠不足を補うために充電するのが精いっぱいです」

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