著者のコラム一覧
春日良一五輪アナリスト

長野県出身。上智大学哲学科卒。1978年に日本体育協会に入る。89年に新生JOCに移り、IOC渉外担当に。90年長野五輪招致委員会に出向、招致活動に関わる。95年にJOCを退職。スポーツコンサルティング会社を設立し、代表に。98年から五輪批評「スポーツ思考」(メルマガ)を主筆。https://genkina-atelier.com/sp/

「セーヌ川」は「お台場」と同じ過ちを犯すのか…どちらも下水道流入による水質問題

公開日: 更新日:

 宿敵に先を越された形のイダルゴだが、市当局の発表には詳細がない。大事なことは、「泳いでみせる」ことを競うより、水質検査の具体的な数字でセーヌ川の懸念をクリアすることだろう。

 折しもネットフリックスが「セーヌ川の水面の下に」という映画を配信した。環境汚染の影響でサメがセーヌ川に侵入、主人公の環境活動家が市長に諫言するも、セーヌ川で行われるトライアスロンのイベント成功を思う市長は「対策は十分」と強行。果たしてその結末は? 配信初週に93カ国でTOP10入りした映画だが、まさにパリ五輪開会1週間前のこの時期、セーヌ川問題への警鐘に響く。

■「巨大な世界規模の下水道」

 思い起こせば東京五輪2020、同様のことが起きていた。「泳げるお台場」にすべくマラソンスイミングとトライアスロンの会場としたが、下水道施設の改善という根本的な対策を取らず、「水中スクリーン」や「神津島の砂」といった対症療法で応じた。今、お台場海浜公園は遊泳禁止である。

 パリ五輪後にセーヌ川が泳げる川になっているかどうか、それがパリ五輪を評価する重大な視点となるだろう。イダルゴは昨年11月にX(旧ツイッター)を退会した。「Xは憎悪や偽情報を広め民主主義を破壊する『巨大な世界規模の下水道』と化している」と批判して。イダルゴは本気でパリの「下水道」に取り組むべきだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦は大関昇進も“課題”クリアできず…「手で受けるだけ」の立ち合いに厳しい指摘

  2. 2

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  3. 3

    マエケン楽天入り最有力…“本命”だった巨人はフラれて万々歳? OB投手も「獲得失敗がプラスになる」

  4. 4

    中日FA柳に続きマエケンにも逃げられ…苦境の巨人にまさかの菅野智之“出戻り復帰”が浮上

  5. 5

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  1. 6

    高市政権の“軍拡シナリオ”に綻び…トランプ大統領との電話会談で露呈した「米国の本音」

  2. 7

    エジプト考古学者・吉村作治さんは5年間の車椅子生活を経て…80歳の現在も情熱を失わず

  3. 8

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  4. 9

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  5. 10

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ