星野監督&張本勲さんからの助言に共通した「もっと自分を疑え」。だから俺は調子が良いときでも…
それもあってか、調子が良かったにもかかわらず、星野仙一監督が急に優しくなることはなかった。むしろ、こんなことをよく言われた。
「良い状態なんてそんなに長くは続かん。悪くなってから考えるんやない。良いときほど考えとけ。明日の保証なんてないんや。常に自分自身を疑ってやれ」
星野監督はどちらかというとマイナス思考だった。
92年の秋季キャンプで1カ月間、臨時コーチを務めた張本勲さんから指導を受けたとき、「今日4安打でも、明日4三振するかもしれない。もっと自分を疑え」と教わった。
長嶋茂雄さんも、一般的にはポジティブなイメージがあるけど、実は野球に関してはすごくネガティブ。俺もどちらかというと、同じタイプだ。「いつかは打てなくなるよな……」と自分自身を疑いながら、バットを振っていた気がする。
そんな性格もあって、本塁打のタイトルを意識するようになったのは、8月に入ってからだった。