ソフトバンクはなぜ今「南海ホークス」を"復活"させたのか? 60年ぶり3連覇につながった大阪凱旋の舞台裏
主催試合で南海ホークスの復刻ユニ着用は今回が初めて
大阪球場の跡地というだけあって、なんばパークスには、南海ファンなら一度は訪れたいスポットがもう一つある。9階にある「南海ホークスメモリアルギャラリー」だ。館内には、野村克也選手や杉浦忠選手といったレジェンドたちの写真が展示されている。
南海ホークスゆかりのスポットをひと通り訪ね、いよいよ試合会場の京セラドーム大阪へ。球場へ続く道は、多くの人でにぎわっていた。試合前の始球式を務めたのは、南海ホークスの黄金時代を支えた杉浦忠さんのひ孫にあたる女の子。球団の南海ホークスへの敬意が感じられる演出だ。
試合は、日本ハムの伊藤大海投手とソフトバンクの上沢直之投手による投手戦となった。試合中には、南海を意識した演出も随所に盛り込まれ、南海ホークスの球団歌が流れる場面もあった。
ホークスの応援団は「門田」「高柳」など、懐かしい南海時代の選手たちの応援歌を演奏。これに応えるように、日本ハムの応援団も当時の選手の応援歌を演奏するという粋な演出を見せた。試合そのものとは別のところでも、大いに盛り上がった。
山本祐大選手の犠牲フライが決勝点となり、ホークスが1-0で勝利した。
この日の観客数は3万5121人で、満員御礼。球団によると、直近5年間に京セラドーム大阪で開催したソフトバンク主催試合では、最多の観客数となったという。
SNSには〈こんな投手戦で競り勝つのは、南海ホークスではなくて令和のホークスですね〉〈当時の感覚で、いつやらかすかヒヤヒヤしながら見ていました〉といった、旧南海ファンの投稿が相次いだ。南海時代からの熱狂的なファンとして知られるタレントの森脇健児さんも、インスタグラムに〈京セラドーム大阪にて南海ホークスナイター最高です。ソフトバンク様々よくぞこのような企画をしてくれました〉とつづっている。
南海ホークスの復刻試合は過去にも行われている。2017~19年の「KANSAI CLASSIC」などでは、福岡ソフトバンクホークスがビジターチームとして南海ホークスの復刻ユニフォームを着用した。ただし、主催したのはオリックス・バファローズだった。
一方、福岡ソフトバンクホークスが主催する試合で、南海ホークスの復刻ユニフォームを着用したのは今回が初めてだという。では、なぜ今回、この試合を企画したのか。球団広報は次のように説明する。
「企画のきっかけは、南海ホークスが1964年から1966年に達成して以来となる、球団として60年ぶりのパ・リーグ3連覇への挑戦です。その節目となる2026年にホークス生誕の地・大阪で、ファンの皆様に球団の歴史と伝統を改めて感じていただきたいと考え企画しました。選手とファンが同じデザインのユニフォームを身にまとうことで、球場全体の一体感を高め、ともにリーグ3連覇を目指す機会にすることがねらいでした」
球団の狙いは見事に実を結んだ。福岡ソフトバンクホークスは9月17日にリーグ優勝を決め、南海ホークス時代の1966年以来、60年ぶりとなる球団3連覇を達成した。オールドファンも、ソフトバンクになってからのファンも一緒になって盛り上がった「南海ホークス復刻ナイター」。チームの優勝にもつながった「縁起のいい」イベントとして、来年以降も恒例行事となることを、ファンは待ち望んでいる。
(取材・文=三浦徹/ライター)
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