「終息しなければ東京五輪中止」IOC委員発言の本当の狙い

公開日: 更新日:

「(新型コロナウイルス感染の)事態が終息しなければ、東京オリンピックの中止を検討するだろう」──。IOC(国際オリンピック委員会)のディック・パウンド委員(77)の発言で、東京五輪の中止が一気に現実味を帯びてきた。

 AP通信の取材に対し、パウンド委員は「開催可否」の判断の期限が5月下旬になるとの見方を示した上で、「準備期間が短いので、他都市での代替開催はむずかしい」「数カ月の延期は、放映権を持つ北米放送局が理解しない」とも語ったという。これに対し、日本側は「IOCの公式見解ではない」(橋本聖子五輪相)、「委員の個人的見解。担当者からはしっかりやれと言われている」(小池百合子都知事)と火消しに躍起になっているが、パウンド委員はなぜ、このタイミングで踏み込んだ発言をしたのか。

「パウンド委員はIOCの元副会長であり、世界で100人超いる委員の中でも『単なる1委員』という位置付けではありません。彼は1960年、競泳自由形の選手としてローマ五輪に出場。その後、モントリオールで弁護士となり、78年にIOC委員となりました。五輪の商業主義化を進めたサマランチ元会長のもとで権利ビジネスの中心的役割を務め、IOCマーケティング委員長や世界反ドーピング機関(WADA)委員長に就くなど、各国委員にも顔が利く。そんな彼が熱心に取り組んだのが、米国向けテレビ放映権の獲得でした。五輪まで5カ月に迫ったこの時期に開催の可否に言及したのは、『新型コロナウイルスの封じ込めに失敗して中止となれば放映権料は払わないし、延期もしない』という米メディアの意思を代弁したのではないか」(スポーツ紙記者)

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    片山さつき財務相“苦しい”言い訳再び…「把握」しながら「失念」などありえない

  3. 3

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  4. 4

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  5. 5

    高市首相「世界の真ん中で咲き誇る日本外交」どこへ? 中国、北朝鮮、ロシアからナメられっぱなしで早くもドン詰まり

  1. 6

    “文春砲”で不倫バレ柳裕也の中日残留に飛び交う憶測…巨人はソフトB有原まで逃しFA戦線いきなり2敗

  2. 7

    阪神・佐藤輝明の侍J選外は“緊急辞退”だった!「今オフメジャー説」に球界ザワつく

  3. 8

    ドジャースからWBC侍J入りは「打者・大谷翔平」のみか…山本由伸は「慎重に検討」、朗希は“余裕なし”

  4. 9

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  5. 10

    古川琴音“旧ジャニ御用達”も当然の「驚異の女優IQの高さ」と共演者の魅力を最大限に引き出すプロ根性