「ルポ 介護独身」山村基毅氏

公開日: 更新日:

 非婚、少子化、超高齢化社会、そして2000年にスタートした介護保険による「介護の在宅化」の流れが加速する中で、独身者が親を介護する「介護独身」が、今、急激に増えている。本書は、新しい社会問題になりつつある独身者による介護の実態に斬り込んだルポルタージュだ。

「親の介護が必要になったとき、それを担うのは独身者が圧倒的に多く今の中心年齢層は40代、50代です。結婚している兄弟姉妹からは『独身だから時間の融通がきくでしょ』と暗に押し付けられ、親もヘルパーなど他人の世話になりたくないと言いだすと、独身者は自分がやるしかないと考えるんですね。もちろん何とかなると楽観視する面もあります。だけど、いざ介護が始まると、多くの人が独身ならではの“闇”に陥るんです」

 多くの場合、独身の介護者は親と2人暮らしだ。そのため、介護に追われ友人や同僚と付き合いがなくなり、言葉を交わすのは病院かケアマネジャーのみとなる。日々、変化する症状に一人で対応しているうちに精神的にも肉体的にも疲労が降り積もっていく――。

「既婚者なら自分の家庭という別世界がありますが、“何でも一人”に慣れている独身者は介護も一人で抱え込んでしまい、気が付けば閉じた世界になっている。独身介護者が陥る闇、それは『孤立』です。特に男性のそれは深刻。あまり人に相談しないうえ、真面目に介護をするので心身共に追い詰められ、離職してしまう人も多いんです」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    映画「国宝」ブームに水を差す歌舞伎界の醜聞…人間国宝の孫が“極秘妻”に凄絶DV

  2. 2

    「時代と寝た男」加納典明(22)撮影した女性500人のうち450人と関係を持ったのは本当ですか?「それは…」

  3. 3

    輸入米3万トン前倒し入札にコメ農家から悲鳴…新米の時期とモロかぶり米価下落の恐れ

  4. 4

    くら寿司への迷惑行為 16歳少年の“悪ふざけ”が招くとてつもない代償

  5. 5

    “やらかし俳優”吉沢亮にはやはりプロの底力あり 映画「国宝」の演技一発で挽回

  1. 6

    参院選で公明党候補“全員落選”危機の衝撃!「公明新聞」異例すぎる選挙分析の読み解き方

  2. 7

    「愛子天皇待望論」を引き出す内親王のカリスマ性…皇室史に詳しい宗教学者・島田裕巳氏が分析

  3. 8

    TOKIO解散劇のウラでリーダー城島茂の「キナ臭い話」に再注目も真相は闇の中へ…

  4. 9

    松岡&城島の謝罪で乗り切り? 国分太一コンプラ違反「説明責任」放棄と「核心に触れない」メディアを識者バッサリ

  5. 10

    慶大医学部を辞退して東大理Ⅰに進んだ菊川怜の受け身な半生…高校は国内最難関の桜蔭卒