「犬たちの明治維新 ポチの誕生」仁科邦男氏

公開日: 更新日:

 新聞社に勤めながら、定年退職が見え始めた50歳の頃、犬の歴史について本を書こうと決意。

「定年後は何をしようかと考えた。家にいてもつまらないし近所に友達もいない。サラリーマンなんてそんなもんですよ。いっそ犬の歴史を全部調べて分厚い本を作り、それを枕にして死のうかなと(笑い)。それが形になって、第2弾がこれです」

 特筆すべきは国内外の膨大な史料に基づいた、著者の新説・新解釈だ。犬はなぜポチと相場が決まったのかも、そのひとつ。

「幕末にイギリス人が作った『実習横浜語』という日本語会話の手引書にヒントがありました。幕末に洋犬が“カメ”と呼ばれていたゆえんと同様、英語の発音が、もともとあった日本語と共鳴して定着した。Come hereがカメ、Patch(ぶち)がポチとして一般化したと私は考えています」

 教科書には決して載らない幕末・明治期の裏側に、思わず膝を打つ。(草思社 1600円+税)

▽にしな・くにお 1948年、東京都生まれ。早稲田大卒。毎日新聞社入社。07年から会員誌「動物文学」で「犬の日本史」を連載執筆中。著書に「犬の伊勢参り」がある。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    横浜・村田監督が3年前のパワハラ騒動を語る「選手が『気にしないで行きましょう』と…」

  2. 2

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  3. 3

    マツコが股関節亜脱臼でレギュラー番組欠席…原因はやはりインドアでの“自堕落”な「動かない」生活か

  4. 4

    松井秀喜氏タジタジ、岡本和真も困惑…長嶋茂雄さん追悼試合のウラで巨人重鎮OBが“異例の要請”

  5. 5

    巨人・田中将大と“魔改造コーチ”の間に微妙な空気…甘言ささやく桑田二軍監督へ乗り換えていた

  1. 6

    5億円豪邸も…岡田准一は“マスオさん状態”になる可能性

  2. 7

    小泉進次郎氏8.15“朝イチ靖国参拝”は完全裏目…保守すり寄りパフォーマンスへの落胆と今後の懸念

  3. 8

    渡邊渚“初グラビア写真集”で「ひしゃげたバスト」大胆披露…評論家も思わず凝視

  4. 9

    「石破おろし」攻防いよいよ本格化…19日に自民選管初会合→総裁選前倒し検討開始も、国民不在は変わらず

  5. 10

    大の里&豊昇龍は“金星の使者”…両横綱の体たらくで出費かさみ相撲協会は戦々恐々