我が家のヒミツ 奥田英朗著

公開日: 更新日:

「家日和」「我が家の問題」に続く家族小説シリーズの第3弾。

 現代日本の家族が抱える問題を多様な視点から描いてきたこのシリーズ。今回のテーマは、言うに言えない家族の「ヒミツ」。

「アンナの十二月」は、16歳になったアンナがそれまで秘密にされていた実の父親に会おうと決意する話。実の父が著名な演出家だと知ったアンナは、実父の周囲の華やかな世界に圧倒され、つい真面目だが地味な育ての父と比べてしまう。いっそ実父のもとで暮らしたいとまで考えるアンナを心配する母や友だち……。

「妻と選挙」には小説家・大塚康夫がシリーズ3度目の登場。突然妻から市議会議員選挙に立候補すると告げられた康夫が、最初は乗り気でなかったものの、徐々に選挙応援にのめり込んでいく様子をユーモラスにかつ温かく描く。

 その他、子供に恵まれない夫婦のそれぞれの葛藤、同期との昇進レースに敗れた男の敗北感に満ちた心境、母が急逝して憔悴しきった父を心配する兄妹、産休中に隣の謎めいた夫婦の動向に神経を尖らせる妻など、粒揃いの全6編を収録。(集英社 1400円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    国分太一コンプラ違反で無期限活動休止の「余罪」…パワハラ+性加害まがいのセクハラも

  2. 2

    クビ寸前フィリーズ3A青柳晃洋に手を差し伸べそうな国内2球団…今季年俸1000万円と格安

  3. 3

    高畑充希は「早大演劇研究会に入るため」逆算して“関西屈指の女子校”四天王寺中学に合格

  4. 4

    「育成」頭打ちの巨人と若手台頭の日本ハムには彼我の差が…評論家・山崎裕之氏がバッサリ

  5. 5

    進次郎農相ランチ“モグモグ動画”連発、妻・滝川クリステルの無関心ぶりにSNSでは批判の嵐

  1. 6

    「時代と寝た男」加納典明(19) 神話レベルの女性遍歴、「機関銃の弾のように女性が飛んできて抱きつかれた」

  2. 7

    吉沢亮「国宝」が絶好調! “泥酔トラブル”も納得な唯一無二の熱演にやまぬ絶賛

  3. 8

    ドジャース大谷「二刀流復活」どころか「投打共倒れ」の危険…投手復帰から2試合8打席連続無安打の不穏

  4. 9

    銘柄米が「スポット市場」で急落、進次郎農相はドヤ顔…それでも店頭価格が下がらないナゼ? 専門家が解説

  5. 10

    ドジャース佐々木朗希 球団内で「不純物認定」は時間の問題か...大谷の“献身投手復帰”で立場なし