「ネバーホーム」レアード・ハント著 柴田元幸訳
インディアナの農場で暮らしていたコンスタンスは、南北戦争が始まったとき、アッシュと名を変えて夫のバーソロミューの代わりに北軍に入隊した。夫は体が弱くて目も悪いが、彼女は生まれてこの方、病気知らずで、50メートル先のウサギの耳を撃てたからだ。彼女より銃がうまい兵士はひとにぎりしかいなかったが、目立たないように時々は撃ち損なったほうがいいと夫は手紙に書いてきた。
初めて人を撃ったとき、死んだ男の頭を抱えてやりたかったが、そういう気持ちを殺さなくてはいけないと思った。女だとばれて除隊させられ、故郷に戻った彼女を待ち受けていたのは……。南北戦争を背景にした長編小説。(朝日新聞出版 1800円+税)